歌誌月光90号
特集 歌謡

〈歌謡は「歌う」一人称の文学として〉太古より今日へと来たった。そして、歌うということは当然のことながら、それ自身呼びかけるべき語りかけるべき他者を内含しているのだ。他者を内含することによって、二人称・三人称をも包括するのだ。 ──福島泰樹
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、「歌謡」。抗争の中で燃えたつ労働歌、モノローグ的な世界構造からアナーキーにもファシズムにもなりうる声、辞世の歌……。歌謡の中の短歌、短歌の中の歌謡を掘り起こす論考のほか、「短歌時評 半生と日常と歌」など会員による連載多数。
編者 | 福島泰樹(主宰)他 |
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発売日 | 2025年5月14日 |
ページ数 | 112 ページ |
定価 | 1,000円(+税) |
判型 | A5判並製 |
装幀・造本 | 藤巻亮一 |
カバー写真・ イラスト |
佐中由紀枝 |
ISBN | 978-4-7744-0861-3 |
目次
巻頭作品 下谷万年町物語・序説 福島泰樹 4
特集 歌謡 6
「月の砂漠」幻想 山本 茂 7
現代短歌における歌謡性について 大林明彥 10
志士たちの辞世の歌 足立尚計 13
抗するものとしての歌謡 岡部隆志 17
特別企画 俊英五十首 目のない目 楠本夏菜 22
歌謡の予見性──六〇年代体験的、歌との出会 福島泰樹 26
短歌一 殉教者たちの終焉『百年揺詠』〈一〉 凛七星 32
晩が来て…… 川崎秀三 33
メランコリックなぼくの肺 窪田政男 34
パタパタ 武藤雅治 35
鶴は病みき 山本 茂 36
春を待つ〜題詠百首より 櫻井真理子 37
精進湖 高橋凜凜子 38
ユビキタス・スターバックス 小田那津子 39
星たちよ 鹿野 氷 40
Kの肖像54 宮野克行 41
湯気の数式 矢澤重徳 42
月と少年 足立尚計 43
日々是是 中田 實 44
能幽玄 皆月ヒバリ 45
名もなき春 臼井敦子 46
男ありける 髙嶋和惠 47
連載 わが稗史抄 第十三回 山本 茂 48
蚯蚓の戯言 14 ——土岐善麿・篠弘・重信房子・宮柊二と川口常孝—— 大林明彥 50
テロルと虐殺と「私」 関東大震災朝鮮人虐殺を想起して—其の十— 武藤雅治 52
短歌作品 自由への星 ガザ停戦 重信房子 56
歌の海、命の風 五十嵐博信 58
特集二 歌い継がれてゆく歌の 渡邊浩史 60
短歌時評 半生と日常と歌 潮 なぎさ 64
短歌二 鶯谷ランボウ 皆月ヒバリ 68
父はエルヴィス 潮 なぎさ 69
春の酒 来栖微笑 70
雪を見たかい 夏野ひぐらし 71
フクシマ 漂流詩人 杉山志保 72
未着 晴山生菜 73
人の様 六 逝ってしまった友 永田 修 74
冬のボンゴへ 鎌田圭一 75
いぶすき菜の花マラソン+開聞岳トレイル五〇㎞ 鏡 澄夫 76
明暗折衷 白井大治 77
保険屋が近き死を売りにくる 福間三九郎 78
Free Energy = Zero Energy(宇宙からの只のエネルギー) 菅原あこ 79
父を想う 久慈博子 80
憂憂自適 舛山誠一 81
喫茶メープル 綿田友恵 82
憂国忌の中井英夫と椿實 大林明彥 83
連載 天神亭日乗 26 来栖微笑 84
月光シネマテーク58 あした花咲く庭で(23) 渡邊浩史 86
その一首をめぐる冒険 ③
それを名付けること─綿田友恵歌集『赤鉛筆、父、母……。』評 木下竣介 88
神保町のんしゃら日記 24 晴山生菜 92
コトバ数だけ数えうたの二十四 山崎春美 94
月光通信 98/月光歌筵Ⅰ 前号作品評 窪田政男 106/ Ⅱ 綿田友恵 108/ Ⅲ 竹下洋一 110/編集後記 112