歌誌月光84号
特集 福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』
空も焦げ血のりとなって地を圧す帝都壊滅 戒厳令下
大正をしぶく疾風霧時雨 佩剣の音の熄まざりしかば
地の涯へゆこうとつねに民衆と歩まんパリ潜入の夜
人差しの指もて人を指すことの人刺すことの鶏頭の花
労働の機械となるな逸楽の機械となるな淑女諸君よ
『大正十二年九月一日』より
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、関東大震災から100年を迎えた2023年刊の福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』。自身の父母や血縁と地続きにあったという関東大震災。大杉栄、伊藤野枝、辻潤、宮嶋資夫、古田大次郎……当時を生きた人物の声が「住み着き」「生き返る」とはどのような体験か? 特集内では、第35歌集編纂にあたって福島が思いを語ったインタビューのほか、会員による一首評などを掲載。大和志保による短歌評論連載では、2023年下半期以降の歌集を取り上げる。
編者 | 福島泰樹(主宰)他 |
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発売日 | 2024年4月30日 |
ページ数 | 114 ページ |
定価 | 1,000円(+税) |
判型 | A5判並製 |
装幀・造本 | 藤巻亮一 |
カバー写真・ イラスト |
佐中由紀枝 |
ISBN | 978-4-7744-0828-6 |
目次
巻頭作品
「大正十二年九月一日」以後二 剝製の歌 福島泰樹
家書家伝 竹下洋一
エイリアンズ 大和志保
特集 福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』
月光インタビュー12 福島泰樹 明日への追憶 福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』を読む 聞き手:大和志保
美は乱調にあるってか 山本 茂
福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』 竹下洋一
追憶を烈しくさせる 武藤雅治
若き「ゴロツキ」アナキストたちへの挽歌 岡部隆志
一首鑑賞
足立尚計/五十嵐博信/小河内仁美/岡本 康/窪田政男/重信房子/杉山志保/千田桃子/中田 實/晴山生菜/宮野克行/矢澤重徳/山崎春美/山本 茂/綿田友恵/渡邊浩史
短歌一
渚にて 山本 茂
物憂きスプリットタン 窪田政男
ACT 2 クライシス 髙坂明良
東寺慶賀門北、유키がいた劇場 凛七星
わがからんどりえ・春愁篇 川崎秀三
火の鳥 楠本夏菜
桜花の暗さ 藤岡 巧
水物語 鹿野 氷
停まらない駅 潮 なぎさ
今生ワルツ 五十嵐博信
花芯のゆらぐ 夏野ひぐらし
ざわめきやまず 櫻井真理子
備忘録 2024.3 矢澤重徳
山のふもとに 武藤雅治
よきこゑに 髙嶋和惠
連載
わが稗史抄 第七回 山本 茂
蚯蚓の戯言 8 岸上大作の死と福島泰樹の生(栄光と敗北) 大林明彥
テロルと虐殺と「私」 関東大震災朝鮮人虐殺に関連して―其の五― 武藤雅治
短歌時評 触角と光、言葉の身振りについて(Ⅴ) 大和志保
自由への星 シンパシーからエンパシーへ 重信房子
短歌二
Kの肖像48 宮野克行
The end of the world 尾松 亮
別離 高橋凜凜子
梅花ふたつ 臼井敦子
内灘夫人 杉山志保
眠られぬ夜 久慈博子
Sisterhood 綿田友恵
呼吸 千田桃子
冬も昔の 舛山誠一
にっちもさっちも 小田那津子
アロエ押したらエナドリ出てきます。へ 鎌田圭一
徒然走歌 鏡 澄夫
宇品線 小河内仁美
矛盾世界 足立尚計
反照に 中田 實
天罰あるべし 大林明彥
連載
月光シネマテーク53 あした花咲く庭で(18) 渡邊浩史
きょうの百葉箱 「ひとつ」を目指すことの脅威 潮 なぎさ
天神亭日乗20 来栖微笑
神保町のんしゃら日記18 晴山生菜
コトバ数だけ数えうたの二十二 山崎春美
月光通信
月光歌筵Ⅰ 前号作品評 窪田政男
Ⅱ 綿田友恵
編集後記