愛ゆえの反ハルキスト宣言
ベストセラー作家・村上春樹の何が「劣化」しているのか?
彼の長編小説から、どんな「雑音」が聞こえてくるのか。「劣化」と「雑音」について縦横無尽に語るのは、村上作品を読んで作家になることを決めたものの、その後はアンチに転じた現役作家の平山瑞穂。 村上の長編小説に対して、誰もが思っているのに、いままで言葉にされてこなかったことがある。 売れすぎているので、言いたかったけれど、遠慮して言えなかったことがある。 そんな読者の思いを背負い、村上の長編小説を徹底批評! 反ハルキストだけでなく、ハルキストのみなさんにもぜひ読んでほしい。 炎上覚悟。批判上等。 著者、入魂の1冊。
著者 | 平山瑞穂(著) |
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発売日 | 2017年9月6日 |
ページ数 | 360 ページ |
定価 | 1,600円(+税) |
判型 | 四六判並製 |
装幀・造本 | 小林義郎 |
カバー写真・ イラスト |
大久保ナオ登 |
ISBN | 9784774406398 |
目次
序にかえてーー村上春樹と僕
第1章 純真さと性的放縦
1 永遠にピュアな少年少女たち
2 エクスキューズとしての性的放縦
3 イノセント化される性的逸脱行為
第2章 当事者であることを回避する人々
1 定型句「やれやれ」の興亡
2 ネガティブな感情に対する障壁とエゴイズム
3 保護された純真としての〈世界の終り〉
4 当事者たらんとした僕たちの失敗 5 定型句「〜しないわけにはいかない」の本当の意味
第3章 性と「萌え」をめぐって
1 反復される「遠隔性交」のモチーフ
2 セルフポルノ化する性描写
3 先取りされていた「萌え」
4 「萌え」要素満載のエキセントリックな少女たち
第4章 駆動するオポチュニズム
1 複雑さと恣意性の間に
2 事実を無制限に多層化する伝家の宝刀
3 女たちに好かれる僕たちの成功、そして自己愛
4 名前をめぐる冒険
終章 人はなぜ村上春樹を求めるのか
巻末資料 村上春樹全長編小説概観
あとがき
平山瑞穂(ひらやま・みずほ)
1968 年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。2004 年にデビュー作の『ラス・マンチャス通信』(角川文庫)で第16 回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。著書に『忘れないと誓ったぼくがいた』(新潮文庫)、『シュガーな俺』(世界文化社)、『あの日の僕らにさよなら』(新潮文庫)、『プロトコル』(実業之日本社文庫)、『マザー』(小学館文庫)、『3・15卒業闘争』(角川書店)、『出ヤマト記』(朝日新聞出版)、『四月、不浄の塔の下で二人は』(中央公論新社)、『彫千代〜Emperor of the Tattoo 〜』(小学館)、『バタフライ』(幻冬舎)等多数。編著に『紙礫7 変態』(弊社刊)。