皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

ファルスについて 偏愛的作家論

幸田露伴から須賀敦子まで。本の目利きと分け入る文学の森

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明治の幸田露伴から平成の須賀敦子まで。『乱歩と東京』(日本推理作家協会賞『うわさの遠近法』(サントリー学芸賞)『群衆』(読売文学賞)『闇のなかの石』(伊藤整文学賞)の著者にして全国紙書評委委員を務めること20年、「本の目利き」が綴った日本近現代文学・作家案内。

ひさしぶりに本を出すことになった。書評集『本を読む。』以来だからじつに8年ぶり。どれも既発表なのは前著と同様で、当然のことながら見覚えのある論旨はあってもすべて単著に未収録の論考やエッセイからなっている。私自身書いたことを忘れていた文章もあったが、どこかに置き忘れていたパズルのピースが舞い戻ってきたようでうれしい。楽しんでお読みいただければ、と思う次第(本書あとがきより)

著者 松山巖
発売日 2026/6/19
ページ数 256 ページ
定価 2700円(+税)
判型 四六判上製
装幀・造本 藤巻亮一
ISBN 978-4-7744-0888-0

目次


味露記 幸田露伴讃
幸田露伴、釣り糸を垂らす
雑巾がけも奥が深い 露伴から文へ
美人論、即、写真論 「露団々」「艶魔伝」を読む
「かくれんぼ」の新しさ 斎藤緑雨
タテヨコについて横になって考える 宮武外骨と夏目漱石
生を写す鏡、小さな季節 正岡子規
子規の「写生」と写真論


優しい男、生涯が詩人だった 石川啄木
路地、何も変わったところではない 室生犀星
なま若さの魅力 佐藤春夫『田園の憂鬱』
遊民からロボットへ 探偵小説の系譜
うわさの誕生 夢野久作の小説
殺人よりもステキな怖さ 夢野久作の東京ルポルタージュ
「不健全派」の系譜 小酒井不木の位置
なぜ終わりのない話を書きつづけたのか 中里介山『大菩薩峠』


月はすきまから睨む 内田百閒
永遠の捨て子がみる夢 石川淳
無精な天才の大ファルスについて 山田風太郎『忍法封印いま破る』
自在な眼の怖さ 色川武大『遠景』
ヒトに還る場所 深沢七郎
繭のなかのやさしさ 中上健次『讃歌』
ラディカリズムとしての中庸 物語作者・澁澤龍彦


星々輝かした偉大な闇 追悼・山田風太郎
餓鬼大将の節度 追悼・種村季弘
いったいどこに隠れているのだろう 追悼・久世光彦
悲しむのはこれからだ 追悼・川村二郎
須賀さんとの会話 須賀敦子のイタリアへ

あとがき
初出一覧

松山巖(まつやま・いわお)

1945年、東京に生まれる。東京芸術大学美術学部建築科卒業。作家、評論家。評論・エッセイ『乱歩と東京——1920都市の貌』(PARCO出版1984、ちくま学芸文庫1994、双葉文庫1999/日本推理作家協会賞)『まぼろしのインテリア』(作品社1985、改題『百年の棲家』ちくま学芸文庫1995)『都市という廃墟』(新潮社1988、ちくま学芸文庫1995)『うわさの遠近法』(青土社1993、講談社学術文庫1997、ちくま学芸文庫2003/サントリー学芸賞)『肌寒き島国——「近代日本の夢」を歩く』(朝日新聞社1995)『群衆——機械のなかの難民』(読売新聞社1996/読売文学賞)『銀ヤンマ、匂いガラス』(毎日新聞社1996)『世紀末の一年——一九〇〇年ジャパン』(朝日新聞社1999)『松山巖の仕事I 路上の症候群 1978-2000』『松山巖の仕事II 手の孤独、手の力』(以上、中央公論社2001)『建築はほほえむ——目地 継ぎ目 小さき場』(西田書店2004)『住み家殺人事件——建築論ノート』(みすず書房2004)『須賀敦子の方へ』(新潮社2014/新潮文庫2018)、『本を読む。——松山巖書評集』(西田書店2018)、小説『闇のなかの石』(文藝春秋1995/伊藤整文学賞)『日光』(朝日新聞社1999)『くるーりくるくる』(幻戯書房2003)『猫風船』(みすず書房2007)ほか。