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国家に喧嘩を売る女、金子文子:映画『金子文子 何が私をこうさせたか』

現に在るものをぶち壊すのが私の職業です。--金子文子

⼤正時代、たった⼀⼈で国家権⼒に⽴ち向かい、⾃ら死を選んだ⾦⼦⽂⼦(1903-1926)というアナキストがいました。

 

文子は1903年に生まれ、貧しく悲惨な幼少期をすごしました。やがて東京で苦学し、キリスト教、社会主義、無政府主義とたどって、権力や生物の絶滅を謳う「虚無主義」に行き着きます。そして朝鮮人の虚無主義者・朴烈(パクヨル)と出会い、二人で日本の帝国主義や植民地主義を批判する活動を開始しますが、関東大震災のどさくさの中で検束、大逆罪で死刑判決を受けます。朴烈、文子共に恩赦で無期懲役に減刑されますが、文子はまもなく獄中で自死しています(1926年7月23日)。

 

2026 年2月、⾦⼦⽂⼦没後 100 年を期に、浜野佐知監督の映画『⾦⼦⽂⼦ 何が私をこうさせたか』が封切られます。本作は、これまで空白だった死刑判決から死に至る121日間の、金子文子の最後の闘いを、残された数少ない短歌と共に描きだしています。
朴烈の恋⼈、という側⾯が強調されがちであった文子の、新たな像が浮かび上がります。

 

本書は、⼥性映画監督として300本以上の作品を⼿がけてきた著者による本作の製作記「金子文子という爆弾」にくわえ、豪華執筆陣からの寄稿、脚本や⾦⼦⽂⼦全短歌などの資料から構成されます。

 100 年後を生きる私たちが「金子文子」を受け止めるための⼿引きとして、最良の⼀冊です。

 

朴烈のサイドキックとしてではない、彼女自身の生を生きた文子の最後の日々。それは、21世紀の現代でも日本社会や政治への痛烈な批評になっている。そして、それ以上に、すべての個人に「生きる」ことの意味を問うものでもある。これは、百年前にあったわたしたちの「いま」だ。
--ブレイディみかこ

 

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編者 浜野佐知
発売日 2026年3月
ページ数 272 ページ
定価 2,500円(+税)
判型 四六判並製
装幀・造本 藤巻亮一
ISBN 978-4-7744-0879-8

目次

Ⅰ 金子文子という爆弾 浜野佐知
金子文子という爆弾
吉行和子さんのこと

 

Ⅱ 現代に甦る金子文子木村紅美 エレンディラと文子の祖母 安元隆子 獄中で書くことを通して闘い続けた金子文子 崔 盛 旭   金子文子と朝鮮亀田博  天皇国家への抗う意志──金子文子を受容する山泉進  裁判と恩赦についての余計な説明 大田美和 映画『金子文子―何が私をこうさせたか』における短歌栗原康  死してなお壊す──金子文子のニヒリズムアナキズム高島鈴  文子への手紙北村匡平 奪われた者の叫びが横溢するスクリーン武子愛  ソーシャルワークが受け取る万年筆主演・菜葉菜さんインタビュー 金子文子を演じて

 

Ⅲ 金子文子の輪廓──資料編 山﨑邦紀金子文子・全短歌映画『金子文子 何が私をこうさせたか』シナリオ
金子文子の輪郭

 

金子文子クロニクル 亀田博

浜野佐知(はまの・さち)

1948年徳島県生まれ。高校時代に映画監督を志し、1968年ピンク映画の業界へ。1971年監督デビュー。1985年旦々舎設立。以後、監督・プロデューサーを兼任し、300本を超える作品を発表。1998年から一般映画の制作・配給も手がける。主な作品に『第七官界彷徨―尾崎翠を探して』(1998年)、『百合祭』(2001年)、『百合子、ダスヴィダーニヤ』(2011年)、『雪子さんの足音』(2019年)など。著書に『女が映画を作るとき』(平凡社新書、2005)、『女になれない職業:いかにして300本超の映画を監督・制作したか。』(ころから、2022)がある。2000年第4回女性文化賞受賞。本書のテーマである映画『金子文子 何が私をこうさせたか』は2026年2月公開。2025年、「ニューヨーク国際映画賞」と「インド・ドバイ国際映画祭」で5冠を受賞した。