シリーズ紙礫19掟
大月隆寛(民俗学・民衆文化論)一流の視点で選んだ、“渡世”と“掟”が交錯する小説集
「掟」と呼ぶしかないような縛りが「逃げられない」現実としてあり、その内側で忍耐を重ね、日々をやりすごしてゆく――それが常の人の生であり、生きることの内実だった。
開港地ヨコハマを舞台に白人掏摸“バブ”と日本人掏摸“くノ一”との死闘を描いた長谷川伸「舶来巾着切」、神戸まで子豚数百頭を売りに行く顛末、中山正男「豚を把んだ男」、中国戦線で古兵から女性を抱くように仕向けられた若い伍長の姿を描いた富士正晴「童貞」など、編者一流の視点で“渡世”と“掟”が交錯する“おはなし”を集めたアンソロジー。27000字・45頁に及ぶ解説を付す。
編者 | 大月隆寛 |
---|---|
発売日 | 2024年8月9日 |
ページ数 | 352 ページ |
定価 | 2,300円(+税) |
判型 | 四六判並製 |
装幀・造本 | 藤巻亮一 |
カバー写真・ イラスト |
佐多芳郎 |
ISBN | 978-4-7744-0788-3 |
目次
長谷川伸「舶来巾着切」
織田作之助「競馬」
中山正男「豚を把んだ男」
富士正晴「童貞」
村上元三「ひとり狼」
藤原審爾「安五郎出世」
野坂昭如「骨餓身峠死人葛」
大月隆寛 (おおつき・たかひろ)
1959年、東京都生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、成城大学大学院文学研究科へと進む。東京外国語大学助手、国立歴史民俗博物館助教授、国際日本文化研究センター客員助教授を経て、2007年札幌国際大学人文学部教授。2020年同大から懲戒解雇処分を受け、2023年2月札幌地方裁判所は解雇を「無効」とする判決を下した。同年12月和解が成立。2024年3月同大を定年退職。専門は民俗学・民衆文化論。NHK『BSマンガ夜話』の司会としても活躍。
著書に『廐舎物語』(日本エディタースクール出版部、1990年/ちくま文庫、1999年)、『民俗学という不幸』(青弓社、1992年)、『中津競馬物語』(監修、不知火書房、2002年)、『無法松の影』(毎日新聞社、1995年/文春文庫、2003年)、『うまやもん』(現代書館、2004年)、『全身民俗学者』(夏目書房、2004年)、他。訳書に『消えるヒッチハイカー』(共訳、J・H・ブルンヴァン 新宿書房、1988年)