ハンセン病文学全集 2 小説二
ハンセン病患者・元患者による作品の集大成。小説篇その2
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1926年~2000年までの74年にわたる、ハンセン病患者・元患者による作品の集大成。
この百年の文学史に対して、もう一つの流れをつくる。(鶴見俊輔)
戦前の「不治の時代」から、特効薬プロミンの登場により「治る病」となる戦後へ。療養所内の変化が本巻収録の18編の小説群から浮かび上がる。
著者 | 森春樹、氷上恵介、甲斐八郎、風見治、桜井哲夫 |
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編者 | 大岡信、大谷藤郎、加賀乙彦、鶴見俊介 |
発売日 | 2002年10月17日 |
ページ数 | 510 ページ |
定価 | 4,800円(+税) |
判型 | A5版上製 |
装幀・造本 | 安野光雅 |
ISBN | 9784774403915 |
目次
森春樹
「汚れた金色」
「祭りの前夜」
「蛍光」
「いけにえ」
「雪の花は」
「弱肉強食」
氷上恵介
「オリオンの哀しみ」
甲斐八郎
「九年間」
「崖」
「その日」
「海の上で」
「飢えの記録」
風見治
「鼻の周辺」
「不毛台地」
「不在の街」
「絆影」
桜井哲夫
「久遠の花」
「盲目の王将物語」
解説
森春樹(もり・はるき)
1915年2月23日、名古屋市に生まれる。板前職人として働いていたが発病、1940年12月20日長島愛生園入所。独学で勉強。1991年11月25日死去。詩集『巨大なる石』(1955年 炉書房)、創作集『微笑まなかった男』(1983年 近代文藝社)。
氷上恵介(ひかみ・けいすけ)
1923年3月27日兵庫県氷上郡生まれ。年少期に発病、目黒慰廃園に入園。同園の閉鎖にともない、1942年8月29日多摩全生園に転入所。自治会文化部、「多摩」誌編集、全生分校教師などを歴任。1984年1月5日死去。遺稿集『オリオンの哀しみ』(1985年 私家版)。
甲斐八郎(かい・はちろう)
本名・川畑又一。1918年12月16日大阪市生まれ。尋常小学校6年の春、ハンセン病の宣告を受ける。高等科2年卒業。1937年11月1日長島愛生園入所。このころより創作を始める。1987年4月7日死去。『サンルームの風』(1979年 私家版)、『その日』(1988年 私家版)。
風見治(かざみ・おさむ)
本名・松尾直。1932年7月30日長崎市生まれ。1943年発病、国民学校5年2学期で中退。自宅療養の後、1952年5月28日菊池恵楓園入所。1962年11月星塚敬愛園に移る。「火山地帯」同人。1978年第7回南日本文学賞、1986年第17回九州芸術祭文学賞最優秀作受賞。『鼻の周辺』(1996年 海鳥社)、エッセイ集『季・時どき』(2002年 海鳥社)。
桜井哲夫(さくらい・てつお)
本名・長峰利造。1924年7月10日青森県北津軽郡生まれ。尋常高等小学校高等科卒業。1936年発病。1941年10月8日栗生楽泉園入所。1953年失明。詩集に『津軽の子守唄』(1988年 編集工房ノア)、『ぎんよう』(1991年 青磁社)、『無窮花抄』(1994年 土曜美術社出版販売)、『タイの蝶々』(2000年 土曜美術社出版販売)、『鶴の家』(2002年 土曜美術社出版販売)がある。『盲目の王将物語』(1996年 土曜美術社出版販売)。