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メガホンとペンライト 韓国の「騒ぎながら民主主義」

社会は「デモ」で変えられる。日韓の比較から考える、政治と文化の交差点。

2024年冬、韓国で起きた非常戒厳令事態に対して、尹錫悦元大統領の弾劾を求めるデモには100万人を超える市民が参加した。広場にはペンライトの光とユニークな旗が溢れる多層的な連帯の光景が広がり、新しいデモの形として注目を集めている。

人から人へ思いをつなげる「デモ」という手段は、どのように拡張され、どのように社会を変えてきたのか? 「デモに出た方が精神的に救われた」というメディア人類学者の著者が、日韓を合わせ鏡として民主主義の果てない途上を読み解く。

 

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著者 キム・キョンファ
発売日 2026年5月27日
ページ数 264 ページ
定価 2,200円(+税)
判型 四六判並製
装幀・造本 藤巻亮一
カバー写真・
イラスト
安達茉莉子
ISBN 978-4-7744-0886-6

目次

はじめに
世界中で揺れる民主主義/韓国と日本の広場に共に立つ/「メディア人類学」という視点から/韓国という「鏡」の有用性と注意点


第1章 デモとは何か?

二〇二四年冬、韓国の非常戒厳事態/「死者が生者を救った」/日本と欧米メディアの温度差/「制度」かつ「営み」の民主主義/デモとは間接民主主義の補完装置/増殖するデモとテロリズム/関心経済の罠──デマや過激さが力を持つ時代/「映え」てコンテンツ化するデモ


第2章 揺らぐ民主主義と立ち上がる韓国市民

韓国の憲法はデモから始まる/世代を越える「抵抗」の記憶/二十一世紀に起こった三度目のクーデター/韓国の広場を振り返る/「先払い」の食事が振る舞われる祝祭の広場/二十~三十代女性と地方トラクター隊/YouTubeがメディアの主戦場に/非暴力の原風景──二〇〇八年「キャンドル・デモ」/スペクタクルとしての抵抗──一六~一七年「ロウソク集会」/主役は活動家から普通の市民へ


コラム1 「占拠」という行為の意味──オキュパイ運動


第3章 多声性、遊び心、アイデンティティの転覆

一つのデモ、多声的な空間/誰でも発言OKの「自由発言台」/なぜ二十~三十代女性が広場に出たのか/NGワードは「若いのに参加してくれてありがとう」/「軽薄」なペンライトを掲げる若者たち/彩り豊かな旗に隠された「個」の反乱/厳粛主義という対抗文化 /「政治的抗議」から「文化的実践」へ


第4章 デジャボからミームへ、抵抗メディアの系譜

支配に抗う声の記録「抵抗メディア」/対抗的公共圏の創出/七〇~八〇年代、軍事政権と言論弾圧/壁をメディアに変えた「デジャボ」/デジャボから立ち上がる「広場の公論」/「お元気ですか?」ネット空間で復活したデジャボ/物理的場所の占拠 VS 情報空間の占有/集合行動としての「ミーム」


第5章 「極右デモ」をどう理解する?

世界的に増加する極右勢力/保守の空洞化とリベラルへの敵意/非常戒厳局面で急浮上した韓国の極右/韓国の正統右派──高齢・失郷民・宗教若年男性層の「新右派」──ネットで強まるバックラッシュ/日・米・韓の反リベラル現象/インターネットは中立か/極右デモを民主主義とみなす危険性/マルチバース化する公共圏


コラム2 幽霊になった市民──ホログラム・デモ


第6章 日本市民の「静けさ」を読み解く

「なぜ日本人は声を上げないのか」──韓国からの問いかけ/「上からの民主主義」の経緯と反論/熱いデモの時代 ──「ベ平連」の試み/デモが消え去った七〇年代後半/「第三者」の日本メディアと「当事者」の韓国メディア/戦後日本社会を貫く脱原発という問題意識/「デモは無意味だった」挫折と無力感/日比谷公園と光化門の対比——公的領域の矮小化/「心地良い沈黙」の危うさ


おわりに

「長い革命」の途上に立つ日韓/「大きな運動」の韓国と「小さな運動」の日本/互いの課題を映す鏡としてのデモ

参考文献

キム・キョンファ(金暻和/김경화/金ヨニ/X:@yonnie41)

1971年生まれ。韓国在住のメディア人類学者。デジタル・メディアとネットワーク文化を研究する。ソウル大学の人類学科を卒業した後、韓国の新聞社の記者、ポータルサイトの事業開発担当を勤めた。東京大学際情報学府で博士学位(学際情報学)を取得後、東京大学院情報学環の助教、神田外語大学の准教授を務めた。コロナ禍中の2021年に韓国に帰国し、日韓比較文化的観点からメディア研究を続けている。

日本語の著書として、単著に『韓国は日本をどう見ているか』(平凡社、2024年)。林史樹との共著『二代男と改革娘 日韓の人類学者が韓国を語ってみた』(皓星社、2024年)、伊藤昌亮との共著『21세기 데모론(21世紀デモ論)』(2018年、ヌルミン出版、未邦訳)など。