皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

【9/26開催】山口守さん×垂水千恵さん『パパイヤのある街 台湾日本語文学アンソロジー』刊行記念 今こそ読みたい台湾人作家の日本語小説

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「牛車ばかりじゃない。清朝時代からあったものは、こんな日本天年には凡て駄目だ。」(呂赫若『牛車』)

「僕は日本に生れた。僕は日本の教育で大きくなった。僕は日本語以外に話しができない。僕は日本の仮名文字を使わなければ手紙が書けない。だから日本人にならなければ僕は生きたって仕様がないんだ」(周金波『志願兵』)

近年日本での翻訳出版も盛んになり文学の面でも注目を浴びている美麗島・台湾。その歴史的境遇を語る上で、1895〜1945年の50年間という帝国日本による植民地統治は避けて通れません。そんな中、原住民族言語、福佬語、客家語、近代漢語など多彩な言語空間を持つ台湾において、支配者の言語である日本語で創作を行なった作家たちがいました。

今夏刊行の『パパイヤのある街 台湾日本語文学アンソロジー』は、言語政策下でアイデンティティを形成した台湾人作家が1930〜40年代に発表した7篇の日本語小説を収録しています。作品の中には、台湾人作家として初めて日本の雑誌で入選した小説など、台湾文学史を知る上でのキーポイントになるものもあります。

同じ漢字文化圏の日本と台湾。そこにカタカナやひらがな、日本語特有の音声が流入することで、作中の至る所にクレオール日本語ともいえる不思議な表現が漂います。

「日本文学」のナショナルな空間とは違う「日本語文学」の越境、そして言語がアイデンティティとなり、表現手段として獲得されていくまでにはどのような葛藤があったのか。

刊行を記念して、本書編者であり台湾文学研究の第一人者の山口守さんと、解説執筆にご協力いただいた垂水千恵さんをお招きし、台湾日本語文学の魅力を伺います。翻訳者でもあるおふたりには、そして現代日本で手に取ることができる台湾文学の世界についても語っていただきます。質疑応答のお時間も設けますので、ぜひご参加ください。

 

■イベント概要
日 時:2024年9月26日(木) 19:00~20:00
形 態:会場観覧(定員40名)、zoom視聴
場 所:誠品生活日本橋内 イベントスペース「FORUM」(COREDO室町テラス2F)
最寄駅は、JR総武線快速 新日本橋駅、東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅です。
参加費:500円(税込)
★会場観覧(40名)はこちら、オンラインのお申込みはこちらから。

       
■ご参加についてのご注意
・会場へお越しの方は、ご自身のご体調に合わせ、咳エチケットなど周りのお客様へのご配慮をお願いいたします。
・当日のイベントの模様は誠品生活日本橋スタッフ及び、関係者が動画・写真撮影を行い、
誠品生活日本橋、関係者が運営・許可するメディアに掲載させていただく場合がございます。
・止むを得ない事情により、イベントを延期、中止する場合がございます。
・イベント終了後に、アーカイブ配信を予定しております。準備ができ次第、Peatixメッセージにてお知らせいたします。

■登壇者
山口 守(やまぐち・まもる)
1953年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科中国文学専攻修了。専門は中国現代文学、台湾文学および華語圏文学。日本大学文理学部教授を経て、現在日本大学人文科学研究所上席研究員。日本台湾学会名誉理事長。 編著書に『講座台湾文学』(国書刊行会、2003年)、訳書に白先勇『台北人』(国書刊行会、2008年)、張系国『星雲組曲』(国書刊行会、2007年)、『我的日本』(白水社、2018年)などがある。

垂水千恵(たるみ・ちえ)
1957 年生まれ。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(人文科学)。専門は台湾文学。横浜国立大学国際戦略推進機構教授を経て、現在横浜国立大学名誉教授。著書に『台湾文学というポリフォニー 往還する日台の想像力』(岩波書店、2023 年)、『奮鬥的心靈 呂赫若與他的 時代』(台湾大学出版会、2020 年)、訳書に邱妙津『ある鰐の手記』(作品社、2008 年)などがある。