学校では教えてくれない差別と排除の話 【第5刷】
自分がされてイヤなことは他人にしない。 そんな簡単なことが、なぜできないのでしょうか?
「なぜ中学や高校で差別や排除を教えないのだろう?」という著者の素朴な疑問をきっかけに、この本は生まれた。外国人労働者、ヘイトスピーチ、そして沖縄。現代日本の差別と排除の問題を、豊富な現場での取材を元に語り、解決への道を示す。「安田浩一の仕事」の現時点での集大成。
著者 | 安田浩一 |
---|---|
発売日 | 2017年10月6日 |
ページ数 | 224 ページ |
定価 | 1,400円(+税) |
判型 | 四六判並製 |
装幀・造本 | 小林義郎 |
カバー写真・ イラスト |
金井真紀 |
ISBN | 9784774406411 |
目次
プロローグ〈巻頭グラビア〉外国人労働者、ヘイトスピーチ、沖縄
1「いじめられっ子」と「いじめっ子」のはざまで
・父の転勤、僕の転校、そしていじめ
・いじめられっ子からいじめっ子へ
・高卒後、社会運動を経て週刊誌の記者になる
・ライフワークとなった「労働問題」の取材
・そして、興味の対象は日本で働く外国人労働者へ
2なぜ僕は差別や排除に興味を持つようになったのか
・中国人実習生の実態
・外国人研修制度とは
・外国人を奴隷のように働かせる経営者たち
・日本経済がもたらした悲劇
・実習生を安い賃金で働かせる仕組み
・経営者の言い分にも一理あるが……
3排除される外国人労働者
・外国人労働者がいなければ、日本の農家はまわらない
・建前のうえでは外国人を国内で働かせない理由
・技能実習制度をやめた韓国
・かつて日本は外国に労働者を送りだしていた
・研修生が起こした殺人事件
4ある実習生が見た日本の現実
・日本にうらぎられ、残念で悲しい
・苦しめるのも助けるのも日本人
・帰国した実習生たちの日本への思い
・排除されている外国人は実習生だけではない
5差別する人々との出会い
・気持ち悪い人々
・ネタになると思って取材したものの……
・在特会とはどんな組織なのか
6噴きあがるネトウヨ
・暴力への欲求は、誰にでもあるものなのか
・噴きあがるスイッチとは
・ネトウヨに「おわり」はあるのか
・大学での講演でネトウヨが僕にした質問
7なぜ彼らは差別するのか
・どんな気分で差別するのだろう
・「奪われた感」を持つ人の増加
・変わっていく差別のかたち
・差別する側がつるむのはなぜか
8ヘイトスピーチとはなにか
・憎悪に満ちた言葉の暴力
・ヘイトスピーチの事例
・差別される側の恐怖
・法律で食いとめられるのか
・解消法で変わるもの
・権力が迷うのはよいこと
・ヘイトスピーチに対する「カウンター」とは
・ネトウヨとカウンターの共通点
9なぜ沖縄は差別されるのか
・僕が沖縄に関わるきっかけ
・露骨な差別がはじまるとき
・沖縄を知らない「本土の住民」
・フェンスの「内側」に囲われる沖縄
・知らないことから差別がはじまる
・なぜ沖縄は「土人」という言葉に敏感なのか
・沖縄を伝えつづける
10差別や排除とどう向きあえばよいのか
・小さな正義感
・学校で差別と排除をどう教えるか
・差別や排除を見つめるまなざし
・無知と誤解
・好奇心を持つこと
・差別と排除のない社会はきずけるのか
おすすめ文献
安田浩一(やすだ・こういち)
1964 年、静岡県生まれ。外国人労働者問題などをテーマに取材活動を続け、『ネットと愛国』 (講談社)で2012 年の講談社ノンフィクション賞を受賞。著書に『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)など多数。