歌誌月光73号
追悼ーー冨尾捷二
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号は、旧満州に生まれ引揚経験などを歌った会員・冨尾捷二の追悼企画をはじめ、ウクライナ詠などを掲載。月光インタビューでは前号に続き、「不特定多数の私」をキーワードに福島泰樹の作歌姿勢に迫る。そのほか今号より、福島泰樹による詩人・長澤延子の作品を辿る新連載【延子絶叫】がスタート。
○冨尾捷二60首選(選・竹下洋一)より
漆黒の揚羽蝶過る幻の七月沙羅は白く散り敷く
北辺の鬼火衰へ南溟の涯底に腐蝕しゆく軍艦
厄年に赤紙の来し父が聞く消灯喇叭闇の夜を哭く
黄土色のクレヨンに塗る満州の土に育てし南瓜、馬鈴薯
茫としてかすみゆく過去悲しみも薄れて辿るつひにゆく道
著者 | 福島泰樹(主宰)他 |
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編者 | 竹下洋一 |
発売日 | 2022年6月30日 |
ページ数 | 100 ページ |
定価 | 1,000円(+税) |
判型 | A5判並製 |
装幀・造本 | 栗原奈穂 |
カバー写真・ イラスト |
佐中由紀枝 |
ISBN | 978-4-7744-0769-2 |
目次
《短歌一》
ゲルニカ二〇二二 髙坂明良
本の象 立松和平『光の雨』に 晴山生菜
象られる XVII 海にいるには/狂女について 大和志保
家書家伝 竹下洋一
《連載》
月光インタビュー06 明日への追憶—福島泰樹 [第2回]聞き手:大和志保
《短歌二 ウクライナを詠む》
青空と小麦 窪田政男
壊されゆくもの 藤岡 巧
穴ぼこが…… 川崎秀三
ニガヨモギ戦記 尾松 亮
真逆の論理 中田 實
平熱にて 五十嵐博信
散る花に 夏野ひぐらし
死のマスクする 吉田和子
《特別寄稿》
青と黄色をまとわずに 尾松亮
《追悼 冨尾捷二》
実感の歌 福島泰樹
満州残影以後 六十首選(竹下洋一) 冨尾捷二
「海語らず山も語らざる禍事」の語り部 ー冨尾捷二を悼む 岡部隆志
歌で結ばれる縁 綿田友恵
冨尾捷二をさんを偲ぶ 高橋凜凜子
歌会での冨尾さんのこと 中田 實
《連載》
暁の星 最終回 二月の歌 重信房子
《短歌三》
「富美」の雨傘 6 Agnes Fuu’s umbrella 矢澤重徳
縦深陣地 3 松野志保
題詠百首より〜春の病葉 櫻井真理子
たまさか 天離る 小田那津子
人間椅子 千田桃子
小説 鹿野 氷
いのち 臼井敦子
波穂 楠本夏菜
あなひら 武藤雅治
朝から洗濯 黒羽 濫
ぽんこつ 続 高橋凜凜子
盗む足跡 髙嶋和恵
《新連載》
延子絶叫 第1回 白雲、十三の詩 福島泰樹
《短歌四》
生きよ、堕ちよ! 竹村京子
50年 椎野礼仁
語り部の歌一 小河内仁美
June Bride 六月の花嫁 高西澄依
彩られた失恋 加藤保典
ヨウジヤマモト綿100へ 鎌田圭一
代々木上原1990-2022 来栖微笑
Kの肖像37 宮野克行
《連載》
神保町のんしゃら日記 7 晴山生菜
月光シネマテーク 43 あした花咲く庭で(8) 渡邊浩史
きょうの百葉箱 謝る言葉を誤っていないか 潮 なぎさ
天神亭日乗 9 来栖微笑
コトバ数だけ数えうたの十五 山崎春美
月光通信
月光歌筵 窪田政男/綿田友恵
編集後記