皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

歌誌月光70号

特集 松野志保ーー『われらの狩りの掟』

歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、松野志保『われらの狩りの掟』(2021年4月、ふらんす堂)。著者自選30首ほか、大和志保によるロングインタビューを掲載。

○自選30首より

ウェルニッケ野に火を放てそののちの焦土をわれらはるばると征く
荒天に釘ひとつ打つ帰らざる死者の上着をかけておくため
青と黄のタイルの床に背をゆだね確かめる変声期の終わり
葛の花踏みしだきつつゆく道に滅したはずの私が蘇る
地震過ぎてふいに思うはそのかみの稗田阿礼のうすきくちびる

著者 福島泰樹(主宰)他
編者 竹下洋一
発売日 2021年12月27日
ページ数 114 ページ
定価 1,000円(+税)
判型 A5判並製
装幀・造本 栗原奈穂
カバー写真・
イラスト
佐中由紀枝
ISBN 978-4-7744-0757-9

目次

《短歌一》
さらぼへし海馬 冨尾捷二
顔 高橋凜凜子
象られる XIV アヴェ・ヴェルム・コルプス 大和志保
家書家伝 竹下洋一
《特集 松野志保『われらの狩りの掟』》
『われらの狩りの掟』自選三十首 松野志保
月光インタビュー05 私と世界の汀で歌う――松野志保 聞き手:大和志保
松野志保『われらの狩りの掟』書評 山田航
夢の書 花笠海月
世界を分かつことなく 松野志保『われらの狩りの掟』を読む 窪田政男
傷跡と義眼/権力と表象 松野志保の短歌を読む 大和志保
松野志保歌集『われらの狩りの掟』を読む 岡部隆志
一首鑑賞 晴山生菜/楠本夏菜/山崎春美/小田那津子/高橋凜凜子/竹下洋一/矢澤重徳/中田實/高嶋和惠
《連載》
暁の星 九 七月の歌 重信房子
《短歌二》
ステイホーム 窪田政男
花の不安 高嶋和惠
この気鬱― 中田實
「富美」の雨傘3 Agnes Fuu’s umbrella 矢澤重徳
わたしの季節 鹿野氷
静聴 小河内仁美
停留所 潮なぎさ
本の象 晴山生菜
風に献ずる 吉田和子
海が笑い 藤岡巧
窓 武藤雅治
縦深陣地 2 松野志保
《連載》
百四十字、老いらくの歌 四 福島泰樹
《追悼 川俣水雪》
水のごとく雪のごとく 川俣水雪
今ごろはシアンクレールで 馬場先智明
《第九回黒田和美賞発表》
《短歌三 第三回 月光新鋭集》
つゆくさ 黒羽濫
何気無い八月 臼井敦子
ビタミン 楠本夏菜
十九、二十 千田桃子
はるなつあきふゆ 〜ダ・カーポ 五十嵐博信
Kの肖像34 宮野克行
斑鳩の空 来栖微笑
さよならの会 小田那津子
甘き魔性は 近藤恭子
星とジダンとバレエシューズ 〜セルジュ・ゲンズブールを詠む 櫻井真理子
《連載》
神保町のんしゃら日記 4 晴山生菜
月光シネマテーク 40 あした花咲く庭で(5) 渡邊浩史
きょうの百葉箱 わかりやすさの先にあるもの 潮なぎさ
天神亭日乗 6 来栖微笑
月光通信
月光歌筵 窪田政男
編集後記