石とザアタルの地 パレスチナ文学アンソロジー
1950年代から現代まで、8名の作家でたどるパレスチナ文学の道程
海が大好きだった弟、太陽の写真を撮ることが好きだった夫……。レバノンでの虐殺とイスラエルによる空爆を経て「殉難者の妻」になるまでを夢と現実のあわいで回想する表題作「石とザアタルの地」のほか、8名の作家による詩・小説を収録。
山本 薫、岡 真理、武田朝子、田浪亜央江、佐藤まなによる作家・作品の訳者解説を付す。
破壊と殺戮のなかで、その歴史を物語に託し、書き紡いできた者がいる。パレスチナのために、自由のために。
不条理に故郷を奪われ、権利や尊厳をどれだけ踏みにじられようとも、文学という最も人間的な創造行為をあきらめないパレスチナ人作家たちの存在は、それ自体が希望である。(編者解説より)
※デザインは変更の可能性がございます。
| 編者 | 山本薫 |
|---|---|
| 発売日 | 2026年7月13日 |
| ページ数 | 248 ページ |
| 定価 | 予価2,600円(+税) |
| 判型 | 四六判並製 |
| 装幀・造本 | 成原亜美(成原デザイン事務所) |
| カバー写真・ イラスト |
小林紗織 |
| ISBN | 978-4-7744-0887-3 |
目次
パレスチナ周辺図
ファドワ・トゥカーン 「洪水と木」「絶望のための小さな歌」「タンムーズともうひとつのこと」(武田朝子 訳・解説)
ガッサーン・カナファーニー 「ガザからの手紙」「梟は遠き部屋に」(岡 真理 訳・解説)
マフムード・ダルウィーシュ 「身分証明書」「パレスチナの恋人」(岡 真理 /山本 薫 訳・解説)
リヤーナ・バドル 「石とザアタルの地」(山本 薫 訳・解説)
アーティフ・アブーサイフ 「宝くじ」(山本 薫 訳・解説)
イブティサーム・アーズィム 「十月の風」「シャーヒーン」(山本 薫 訳・解説)
アダニーヤ・シブリー 「この海はムハンマド・アルハティーブのもの」(田浪亜央江 訳・解説)
スヘイル・ハンマード 「ガザ連作」(佐藤まな 訳・解説)
編者解説 パレスチナの文学を読む 山本 薫
読書案内
訳者略歴
【編者】
山本薫(やまもと・かおる)
慶應義塾大学総合政策学部准教授。 東京外国語大学地域文化研究科より博士号(文学)取得。 専攻はアラビア語、アラブ文学。パレスチナやレバノン、エジプトなどを中心に、アラブ諸国における文学や文化・芸術と政治・社会との関わりを研究。 作品の翻訳や日本への紹介などの活動にも取り組んできた。
訳書に、エミール・ ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(作品社、二〇〇六年)、アダニーヤ・ シブリー『とるに足りない細部』(河出書房新社、二〇二四年)、ザフラーン・ アルカースィミー『水脈を聴く男』(共訳、書肆侃侃房、二〇二五年)ほか。
主な著書に、『中東の文学を旅する58章』(共編著、明石書店、二〇二六年刊行予定)、主な論文に”Culture and Resistance in Palestine: Rap Music from Gaza”, in Hiroyuki Suzuki & Keiko Sakai eds., Gaza Nakba 2023- 2024: Background, Context, Consequences, Singapore: Springer, 2025.,「アダニーヤ・シブリー『とるに足りない細部』における境界 ─サバルタンの視点を中心に」『世界文学』一四二号(二〇二五年)など。
【訳者】
武田朝子(たけだ・あさこ)
東京外国語大学アラビア語科卒業、立教大学大学院文学研究科地理学専攻修士課程修了。一九八九〜九〇年クウェート大学留学。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究生(一九九三〜九五年)。クウェート及びアラブ社会についての論文、現代詩の翻訳がある。
翻訳に『『私の旅』パレスチナの歴史ー女性詩人ファドワ・トゥカーン自伝』(新評論、一九九六年)、「変化する社会の中の女性」『暮らしがわかる〈アジア読本〉アラブ』(河出書房新社、一九九八年)、オダイマ・ムハンマド「アラビア語訳日本むかしばなし」『詩人会議』五二号(二〇一四年)、「シリアの文学・詩の状況」『詩人会議』七三七号(共編・訳、二〇二四年)など。
岡真理(おか・まり)
早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。東京外国語大学アラビア語科卒、同大学大学院修士課程修了。在学時代、パレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの小説を通してパレスチナ問題、アラブ文学と出会う。エジプト・カイロ大学に留学、在モロッコ日本国大使館専門調査員、京都大学大学院人間・環境学研究科教授等を経て現職。
著書に『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、二〇〇八年)、『ガザに地下鉄が走る日』(みすず書房、二〇一八年)ほか。訳書に、ターハル・ベン=ジェッルーン『火によって』(以文社、二〇一二年)、イザベラ・ハンマード『見知らぬ人を認識する│ パレスチナと語りについて』(みすず書房、二〇二五年)ほか。
田浪亜央江(たなみ・あおえ)
東京外国語大学アラビア語学科卒業、一橋大学言語社会研究科博士課程単位取得退学。国際交流基金中東担当専門員、成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員等を経て、現在広島市立大学国際学部教授。
著書に『〈不在者〉たちのイスラエルー占領文化とパレスチナ』(インパクト出版会、二〇〇八年)、共著に『地域研究の境界ーキーワードで読み解く現在地』(人文書院、二〇二五年)、『帝国と民族のあいだーパレスチナ/イスラエルの重層性』(東京大学出版会、二〇二五年)など。共訳書に『パレスチナの民族浄化ーイスラエル建国の暴力』(法政大学出版局、二〇一七年)。
佐藤まな(さとう・まな)
英語翻訳者・通訳者。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。英語圏におけるパレスチナ系を中心とした移民・難民の文学(とりわけ詩)に関心がある。
論文に「在米ディアスポラ詩人スヘイル・ハンマードにおける『パレスチナ』ー記憶の継承、ブラック・アメリカ、そしてパレスチナ人になること」(修士論文)、「未来のパレスチナー在米ディアスポラ詩人スヘイル・ハンマードにおける ‘home’ と ‘people’」(『日本中東学会年報』日本中東学会、二〇一八年)など。翻訳にジェームズ・ウェルカー編著『BLが開く扉:変容するアジアのセクシュアリティとジェンダー』 (共訳、青土社、二〇一九年)、映画『リトル・パレスティナ』、『Foragers 採集する人々』、『リッチランド』(日本語字幕)など。








