皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

新版 〈海賊版〉の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争

それは悪か、文化を広める原動力か。

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およそ250年前、永久の「著作権」をめぐる裁判が起こった。権利を永久に独占しようとしたロンドンの大書店主たちに厳然と挑み、「パブリック・ドメイン」を勝ち取ったのは、エジンバラの「海賊出版者」アレクサンダー・ドナルドソンだった。デジタル技術の進歩、生成AIなど、著作権をめぐる状況が急速に変わる時代の中で、保護と利用のバランスについてどう考えるべきか? 18世紀イギリスの法廷闘争を通じて、文化の発展と著作権法の相関性を史的に考察する。

2007年のみすず書房版に図版を大幅に追加し、さらに定本刊行以降の著作権をめぐる動向を解説した「新版あとがき」を付す。

著者 山田奨治
発売日 2024年9月10日
ページ数 288 ページ
定価 2,700円(+税)
判型 四六判並製
装幀・造本 藤巻亮一
ISBN 978-4-7744-0837-8

目次

はじめに …… 011

第1章 本の「海賊」と独占 …… 017
「海賊」出版者ドナルドソン/ドナルドソン書店のカタログ/独占出版者ミラーの評判/一八世紀イギリスの司法/両者のいいぶん

第2章 コピーライトに群がるひとびと …… 053
コピーライト法ができるまで/「アン法」の中身/書店主たちの戦争/ドナルドソン、ロンドンへ/永久コピーライト派の勝利

第3章 一九日間の法廷闘争 …… 098
ドナルドソンの戦略/闘いは上院へ/開廷/五つの質問/沈黙と大演説/逆転/ジョンソンの見方

第4章 スコットランドの「悪徳な知」の系譜 …… 153
スコットランドの運命の石/イングランドとの合邦/教会と識字率/出版業の隆盛/詩人ラムジー/エジンバラへ/『優しい羊飼い』/ラムジーの貸本業/蔵書のゆくえ

第5章 現代への遺産 …… 206
画家ラムジーのネットワーク/法律家たちの晩年/ドナルドソン書店のその後/裁判がもたらしたもの

エピローグ …… 228

旧版のおわりに …… 235
新版へのあとがき …… 251


参考文献
索引

山田奨治  (やまだ・しょうじ)

1963年、大阪市生まれ。国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授。専門は情報学と文化交流史。筑波大学大学院(修士課程医科学研究科)修了。京都大学博士(工学)。(株)日本アイ・ビー・エム、筑波技術短期大学助手などを経て現職。著書:『禅という名の日本丸』(弘文堂、2005)、『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(人文書院、2011)、、『東京ブギウギと鈴木大拙』(人文書院、2015、第31回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞)、『著作権は文化を発展させるのかーー人権と文化コモンズ』(人文書院、2021)ほか多数。