皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

近代出版研究 第5号

特集「エフェメラって?――軽薄短命の紙がみ」

『近代出版研究』5号特集は、「エフェメラって?――軽薄短命の紙がみ」です!
最近注目されている「エフェメラ」、それも印刷物=〈プリンテッド・エフェメラ〉に光をあてました!!
チラシやチケット、ラベルといった〈薄くてはかない紙もの〉、それがエフェメラ。

巻頭インタビューは、その道の第一人者である古書日月堂・佐藤真砂が語る「後ろ向きに全力疾走――古書の森にエフェメラを追いかけて」。
昭和レトロ文化研究家として名高い串間努が、戦前コレクターたちの「寸葉品」趣味を概観する力作を寄稿、小林昌樹編集長の総論とあわせて「エフェメラ」の定義/概念を考える上で必読。
伝説の古本同人誌『sumus』創刊者の一人、林哲夫のエフェメラ三題噺+αのエッセイ。
昭和戦前エロ・グロ・ナンセンスの地下出版に詳しい大尾侑子ならではの内容見本「チラ見せ」論。
大学図書館で紙ものの宝庫の整理に取り組んだ司書、松下眞也の経験談。
在野出版史家、戸家誠が紹介する稀少な明治二十年代書籍商の販売カタログ。
美術も絵葉書になるとエロ画像!? 明治の新聞紙面から意外な欲望を掘り起こした松﨑貴之。
音楽にもエフェメラあり! 毛利眞人が戦前レコードの販促材料をこれでもかと開陳。
「神保町エフェメラ・アーカイブ」プロジェクトを推進する米国人女性、スーザン・テイラー。
なんと、シュリンク・パックは明治期にもあった!? 藤元直樹が書物界の珍獣を発見!
書物史のエッジ(周辺領域)を攻める著者たちを、これだけ揃えた雑誌は他にありません。
さらに、しおりや帯、カバーといった事柄についても、コラム「本のエフェメラ小事典」で蘊蓄を傾けています。
今後エフェメラを語るためのマストアイテムと言っていいでしょう。

そのほかにも、
前号の「紀田順一郎特集」後に急逝した紀田先生を偲ぶ小特集。アンケート補遺に鹿島茂、石堂藍、ジャストシステム創業者・浮川夫妻、朝宮運河、大串夏身ら。元編集者による追悼文も。
文芸評論家・武藤康史が年譜作りの体験を回想し金井美恵子らとの交流に及ぶ長編エッセイ。
未来の研究プログラムを企画した幻の書『日本近代出版史 制度と実態』目次案と、その作成者・吉田公彦(日本エディタースクール創業者)の没後十年の顕彰。
……などなど、近代出版の多彩なテーマを取り上げました。

今号もまた、出版研究を面白くする記事が満載です!

著者 近代出版研究所
発売日 2026年4月
ページ数 368 ページ
定価 3,000円(+税)
判型 A5判並製
装幀・造本 藤巻亮一
ISBN 978-4-7744-0882-8

目次

特集 エフェメラって?――軽薄短命の紙がみ
「後ろ向きに全力疾走――古書の森にエフェメラを追いかけて」古書日月堂・佐藤真砂インタビュー 佐藤真砂・小林昌樹・森洋介・河原努・鈴木宏宗

古書日月堂三十年史

「佐藤真砂・日月堂」書誌(小林昌樹作成)

なぜ今(いまさら)エフェメラなのか――デジタル化で出現した「対抗書物カウンターブック」 小林昌樹
エフェメール、読者券、偽正誤表──そして『スムース』 林哲夫
蒐集趣味における「寸葉品」大概──エフェメラと対比しつつ 串間努
『すてがたし』と『すつるもおし』──西垣文庫の一枚物 松下眞也
書物界における有袋類の研究──明治期シュリンク・パック小考 藤元直樹
明治二十年代の大阪書籍商の〝販売資料〟を求めて 戸家誠
コケティッシュ・エフェメラ──戦前昭和の珍書屋「内容見本」論 大尾侑子
又一つ発売禁止秋の風──文展絵葉書の大量流通、春画的受容とその取り締まり 松﨑貴之
レコードのエフェメラ──宣伝物から販売サービスまで 毛利眞人
エフェメラの未来──神田神保町をデジタル・アーカイブにする スーザン・ページ・テイラー

本のエフェメラ小事典 小林昌樹・森洋介・鈴木宏宗

 

年譜の思い出 武藤康史
『神保町が好きだ!』の終刊──書物の街の過去と未来をつないで 鈴木宏宗
東の『頴才新誌』と西の『明進新誌』――明治期投稿雑誌の周辺 神保町のオタ

 

小特集 紀田順一郎追悼
紀田順一郎と私たち補遺 大串夏身、浮川和宣・浮川初子、鹿島茂、林哲夫、後藤光弥、石堂藍、朝宮運河
紀田順一郎先生を偲ぶ 中尾勝
紀田順一郎先生との最後の仕事 河原努

 

『日本出版史料』以前の事と吉田公彦さん──『資料解説 日本近代出版史 制度と実態』第二次目次案について 稲岡勝

書評『史料をひらく 尚友倶楽部史料調査室のあゆみ 「青票白票」から「貴族院関係者談話筆記」まで』──史料集とその出版の一側面 鈴木宏宗