皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

神保町のんしゃら日記8(2024年7月)

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1日(月)メールマガジンの配信日。今月から月はじめの月曜日に送ることにした。メールマガジンというのは金曜日の夜に配信すると開封率が伸びるのだそうだ。でも月末の夜におくると、どうしても「ふりかえり」あるいは「反省」のような後ろ向き思考で出してしまう。それよりは月のはじめに、「これからこんな本をだしますよ」「こんなことをやりますよ」という姿勢で、配信したい。開封率と言ったって、さほどばら撒いているわけではない、自分たちが出したいタイミングでだしたっていいじゃないか。

6日(土)1泊2日で外出。まずは名古屋港水族館へいく。鯨類が多くいる水族館で、生体展示はもちろん標本やパネル展示など博物館としての展示も非常見応えがあった。水族館は博物館法の区分としては博物館に該当するのだということをわからせてくれる。本物のシャチを見たのは初めて(七つの海のティコしかイメージになかった)。揚子江イルカがつい最近絶滅したということも知らなかった。人間という動物の活動が他の様々な生物の絶滅に関わっている。いろいろ用事を足して日曜の夜に帰宅。

8日(月)酔っ払って見ず知らずの人と喧嘩し、「どうして君はそういうことをするんだ!」とIさんにたしなめられる、という夢をみる。シチュエーションや心情まで覚えているからおそろしい。実際の私はそんなことはしない。ひたすら機嫌よく呑むばかり。

10日(水)新刊発売日。樋上典子さんの『学校では教えてくれない性の話』、八重樫信之・村上絢子夫妻の『それぞれのカミングアウト』、マイケル・ヤング『舟 北方領土で起きた日本人とロシア人の物語』、金井広明『再訪』が取次搬入になった。本を売ることはますます難しくなっているけど、1冊でもおおく読む人の手に届いてほしい。『舟』は北方領土での、終戦直後の民間交流について書かれた本ということもあり、各種新聞にも取り上げられ、いい動きだし。今日は家に一人の日なので、ひとしきり仕事した後、神保町の好きな店で一人飲み。

11日(木)夕方、茅ヶ崎の長谷川書店さんでの物販イベント「本の産直市」のビラ配り。ビラ配りひとつとってもコツもあり、奥が深い。そして、長谷川書店さんの名前を出すと受け取ってくれる人が増えるのは、やはり地元での信頼度の高さを表している。それにしても、本を読む人というのは少数派になっているのだということを痛感する。

13日(土)いま一押しのZINE『ふわふわのにぎり拳』の著者参加型読書会。就職したころの理不尽への怒りから書き始めたそうだ。ジャンルとしてはショートショートに分類されるはずだけど、そういう意識は全くなく、嘘であるおとと事実であること両方のニュアンスを出したくて「虚偽エッセイ」という名前をつけたののだそうだ。めちゃめちゃおもしろかった。

14日(日)『それぞれのカミングアウト』出版記念会。多くの方がお祝いに駆けつける。夕方帰宅して夕方庭に出てみると紫蘇が繁茂している。収穫して半分は塩漬けに、半分はジュースにする。本当は赤紫蘇でつくると綺麗な赤色になるのだけど、青紫蘇でもじゅうぶん美味しい。2リットル瓶1本分になる。

15日(月祝)冷蔵庫がスッカラカン。豚肉を買って、魯肉飯を仕込んでみる。五香粉(ごこうこ)、というスパイスミックスを入れると一気に台湾風になるそうだ。はたして本当にそうなった。料理と本づくりが似ていると思うのはこういう時だ。スパイス一つでぐっと方向性がかわる。限られた時間と食材でいかに作るか、というところも。(最近「とに中」を見ているので中華多め。)

16日(火)版元ドットコムのオンラインイベントで、神保町ブックフェスティバルについての意見交換会をする。慣れない司会役。登壇してくれた社のみなさん(青弓社/トランスビュー/西日本出版社/能美舎/ライツ社)は、売上のことから、搬入出のことまで、結構オープンにはなしてくれた。小さな集まりでいろいろオープンに話しあえる関係性、大事。ありがとうございました。(版元ドットコム会員社の方は、アーカイブで記録を視聴できます)

19日(金)今日から3日間、茅ヶ崎の長谷川書店ネスパ茅ヶ崎店で、本の産直市。個性派版元があつまって、直接本の対面販売をするというイベントで、今日は朝から閉店まで店頭に立つ。最初のお客さんはなんと母校(都留文科大学)の卒業生だということだった。前から気になっていたので、と言って買ってくれる人もいた。ハンセン病のことに関心を持っていて、という人も。色々話しながら対面販売をすると色々発見がある。他社さんの販売方法や品揃えも参考になるところが大きい。

20日(土)ブックファースト新宿店で『もっと調べる技術』刊行記念イベントへ。ここは『調べる技術』ヒットのきっかけを作ってくれたお店。ここで2冊目のイベントをさせてもらえることを嬉しく有り難く思う。会場はほぼ満席。聞き役になってくれた平山さんの場の回し方も見事だった。一度会社に帰って残った仕事を片付け。帰ったら明後日からの出張の準備。

21日(日)本の産直市最終日。3日間、長谷川書店さんに大変よくしてもらった。ありがとうございました。帰って食事して11時過ぎに就寝。明日から福岡だ〜。

22日(月)四時半起き。飛行機は時間帯によってずいぶん値段が違うので、できるだけ安くしようとするとどうしても時間は早くか、遅くなる。丸善さんで商品説明会の後、大学営業。終わった後、カラサキ・アユミさんが店番しているふるほん住吉へ。店内のそこここに、カラサキさんの古本愛あふれるポップがある。九州の方、九州を訪れる古本好きの方にはぜひ寄ってほしい。このほどお店を閉められた、古書片岡の片岡喜彦さんの本があり、買って帰る。

23日(火)今回のホテル、ベッドが硬い。ものすごく硬い。熟睡できず何度も朝から腰が辛い。2日目からこんなで大丈夫だろうか。どこでも寝られるタイプなのに……。今日は一日熊本を回る。大学まわったあと、書店さん古書店さんをひとまわりして福岡に帰る。帰り道にあった餃子屋さんで晩御飯。肉だねが滑らかな一口餃子と手羽先でご飯と味噌汁を食べ、レモンサワーを1杯飲んで1000円。ありがたい。ホテルに帰ってメール対応などして早めに休む。ベッドの掛け布団を折り畳んでマットレスがわりにすることを試みる。

24日(水)マットレス作戦が功を奏してベッド硬い問題は多少ましになった。今日は朝から長崎へ。朝は電車移動で、「リレーかもめ」という特急列車にのって、途中で反対ホームの新幹線「かもめ」に乗り換える。だから「リレー」ということらしい。一日営業して、心強い営業のみなさんと一緒に美味しいビールを飲む。夜は今日も掛け布団マットレス方式で寝る。ましにはなったけど、やっぱり少々辛い。

25日(木)今日は午前中は佐賀県へ。すき間の時間に、佐賀之書店さんに営業にいくも、店長の本間さんには会えず、残念。このまえの文フリで「山本飯」という書店員さんが3人で作っているZINEを買い、その中収められている本間さんの日記連載を面白く読んだのだった。名刺と会社案内チラシ類をお預けして帰る。せっかく九州まで、しかも佐賀まできたのだから、行けるところには全部いっておかなくちゃ。その後福岡に戻ってまた営業。やったー!と思うこと、しまったーと思うことの連続。夕方、現役書店員で『本の妖精 夫久山徳三郎』の著者の中我生直佑さんにお会いして、今後の販促について作戦会議。「この本を読んで書店員になりました!」という読者の人ともあったと聞いて、なんとも言えず嬉しくなる。

26日(金)最終日。最後は福岡女子大学附属図書館さんだった。終了後「森崎和江文庫」を見学させてもらった。2020年1月、森崎和江さんのご自宅に置かれていた2000点を超える蔵書が寄贈され、昨年4月から公開されたそうだ。書き込みのある本などもそのまま公開されている。今回訪問した先では、たとえば長崎純心女子大学にも立派な博物館があった。こうした大学のコレクションを活用した論文がぜひこの大学から出てほしいし、何かそういう財産の活用のためにできることはないだろうかと、かんがえるともなく思いめぐらす。
午後からまた電車移動で今度は北九州へ。会いたかった人たちに会うことができる。充実した時間を過ごして最終の飛行機で帰宅。家の布団で久しぶりにぐっすり眠る。

27日(土)1週間分の洗濯!それから来週はざっさくプラスの説明ウェビナーがあるのでその台本の仕上げをする。すでに頭のなかにあることを書き出して構成していくだけなのだけど、それだけのことが、結構時間がかかる。でも、なかなかいい検索事例になった。

28日(日)昨日の続き。そのあと色々な書類づくり。休みでも休む時間がないけど、家にいるだけでだいぶ疲れは取れる。夕方庭に出てみるとまた紫蘇がわさわさになっている。また1リットル瓶2本分のジュースを作る。

29日(月)先週留守にしていたので、色々仕事が溜まっている。一つ一つ、片付ける。

30日(火)丸善さんのオンラインウェビナーに登壇させてもらう。1時間、ざっさくプラスの説明と今後の方針について話す。久しぶりに人前で話す機会だったので少々緊張してしまうが、これを機に興味を持ってもらいたい。日本の雑誌のことなら何でも調べられるデータベース、という目標を改めて思った一日。申し込みは100人近く、リアルタイムで60人ほどの方が視聴してくれた。ありがとうございました。明日は支払い日。