皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

神保町のんしゃら日記7(2024年6月)

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6月1日(土)Ⅰさんがウツボを釣ってくる。哺乳類のような手足もなければ、魚のような鰭もなく、蛇のようにうねりながら海の中で生きている魚類。顔は凶悪だし歯もするどい、まさに海のギャングだ。脂肪が多く弾力のある魚なので、さばくのに苦戦している。私は月曜配信のメルマガの原稿書き(先月のこの連載の仕上げ)。

2日(日)昨日のウツボを唐揚げで食べる。今まで味わったことのない食感!魚というより鶏肉に近い。皮の部分はコラーゲン質なので、鶏皮のようなむにむにした食感になっている。釣ったばかりだからなのか、以前高知で食べたウツボ(多分、冷凍だった)とは比べ物にならないほどだった。はー。

7日(金)『もっと調べる技術』の見本ができてくる。著者の小林昌樹さんと完成を喜ぶ。1よりページ数が増え、より詳しい調べ物のコツと実例週になった。見た目は前回の装丁を一部踏襲してシリーズであることは分かりやすく、しかし方向性は変えて勘違いがおきないようにした。発売まであと10日、楽しみだ。

9日(日)ヒットラーの夢。ヒットラーといってもナチスのヒットラーではなく以前祖父母の家で飼っていた犬のことだ。元気にそこらじゅうを跳ね回っていて、名前を呼んだら腕のなかに飛び込んできた。ところが、頭を撫でて抱きしめているうちに冷たくなって死んでしまった。そこで目が覚めさめた。そうだ、ヒットはもう15年も前に死んだんだった。もういないんだった。涙ぐんでいるうちにまた眠りの中に引き込まていく。

11日(火)版元ドットコムの会員集会。こうして中小の版元が集まる日は年に何度もないので、貴重な機会。こうして横のつながりを持ちやすいのは、出版業界の良いところだと思う。

12日(水)二日酔いだったのだが、そんな二日酔いを吹き飛ばすような事件が発生し、事態収集の手をうつのに半日。一日がものすごく長く感じられた。

13日(木)『舟』の翻訳者の樫本真奈美さんのインタビューが、北海道新聞に掲載される。この本、ちょっと驚くようなことが書いてある。終戦直後、北方領土の志発島ではロシア人と日本人の民間交流がうまれていたという話だ。国対国の大きな歴史と、その現地で生きている民間人同士の歴史というのはイコールではない、という言われてみれば当たり前のことが、具体的なエピソードを下敷きにした表題作と、樫本さんによるインタビューからわかるようになっている。元北方領土島民の証言集はこれまでもいくつか出ているが、ロシア人の側からの証言というのは非常に珍しいそうだ。これまで全く関心がなかった、という人にもぜひ読んでほしい本になった。

15日(土)短歌結社月光の会の、黒田和美賞(会が年間で出している賞です)授賞式。コロナの間開催できなかった3年分の授賞式になる。及ばずながら司会をする。受賞者の方達(髙島和惠さん、松野志保さん、重信房子さん)それぞれの朗読とパフォーマンスがすばらしかった。特に重信さんの長編詩の朗読!実際にそこに肉体をおいたことのある人からしか、発せられない声であった。それにしても司会、やっぱり何度やってもなかなかあがり症はなおらず、慣れない。でも慣れしかない。

17日(月)『もっと調べる技術』発売となった。さあさあ、あとは売るだけ(でもこれが難しい)、がんばらなくっちゃ。前回はまったく動きの予想ができず、刷ったら即座にその増刷分が売れてしまうとういう状況を繰り返して、かなりお待たせしてしまった書店さん、読者さんもあったので、今回は事前にしっかり注文をとって必要十分を作ったつもりだ。上手く在庫のコントロールをしていけますように。

20日(木)佐中由紀枝さんにご招待いただき『光の函』の刊行のお祝いを関係者で。

22日(土)ハンセン病資料館友の会の活動で鎌田慧さんの講演。ハンセン病の問題と冤罪事件の関係について話していただく。冤罪の問題の根っこにあるのは、差別である。ハンセン病の菊池事件然り、ボクサーの袴田さん然り。今年からはじまる大型企画『鎌田慧セレクション』の第一巻目は「冤罪を追う」である。

24日(月)今日からデータベースの営業で名古屋。丸善雄松堂名古屋支店さんにお世話になる。今年は新しく本文閲覧の機能もできたりと、案内内容が多い。新規契約校だけでなく、従来の契約校にもできるだけるようにしている。

26日(水)同行営業は昨日で終わり、今日は日中は書店さんを周り『もっと調べる技術』のアフターケアなどして、昼過ぎの新幹線で帰社する。せっかくなら、日を跨ぐ時は変えないお土産を買おう!と思い、天むすを買って帰る。

28日(金)新しく立ち上げるデータベースの、第一回編集委員会。心強い専門家の先生方の協力を得て無事にスタートアップすることができた。夜ご飯は麻婆豆腐をつくる。ユーチューブの「とに中」をみて「山椒油」(その名のとおり、山椒の香りのする油)を新たに導入し、いつもの作り方を改良してみるとすごく上手くできた。