皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

神保町のんしゃら日記5(2024年4月)

晴山生菜(皓星社)

4月1日(月)今日も葉山町から神保町へ。月光の会の綿田友恵さんが来社し、来月19日の文学フリマまでに、歌集を出したいという相談を受ける。歌は、ある。そして良い。でも構成とタイトルが未定。時間はあとひと月半でなんとかなるか……?うーん、まあ、何とかなるでしょう!跋文は福島先生が間に合わせてくれるとのこと。連休を含めた日程を猛スピードで逆算する。(ちなみに、日程がタイトだと静かに燃えるタイプである。)

4日(木)皓星社と同じビルに入居している、ハリ書房のハリー店長と話す。なんと、もうすぐ、私の大好きな郷酒のすぐ上に、ブックカフェをオープンされるとのこと。カフェは月花舎さんというお店で、共同経営だそう。路面店を出し、週末は車で移動書店。ハリーさんの柔らかで落ち着いた雰囲気からは意外なほどの行動力がある人だ。

7日(日)いい天気なので、庭づくりをする。レイズドベッドは先月のうち作ったので、に南郷公園からもらってきた腐葉土と草木堆肥(臭くない)、もとある庭の土とを混ぜていく。今年は何か植えるには間に合わないかもしれないけれど楽しい。去年植えたクラピアは庭を全面被覆してちゃんとグランドカバーになった。もともと荒れ放題だった庭が、10年ほどかけてかなり改良されてきている。そういえば次の3月で、ここに越してきて10年になるんだな。夜は、一昨年作っておいたピーマンの塩漬け(ギッチギチにしたので腐敗していない)と、筍の瓶詰め(自分で掘ったもの)を使って青椒肉絲を作る。もりもり食べる。

9日(火)ハリ書房さんのブックカフェのプレオープン日。開店おめでとうございます!中二階のテーブル席は読書会などの小規模イベントにも良さそう。夕方ここで打ち合わせをし、そのまま郷酒さんで飲めたら最高ではないか……。

10日(水)佐中由紀枝写真集『光の函』入校日。そして『近代出版研究3号』発売。今号も大ボリューム!小林さんはこちらの校了と『調べる技術』続編の執筆でいそがしそう。ご苦労おかけします。夜はマックをテイクアウトで食べる。草臥れたからだにビールとジャンクフードがしみる。海老フィレオが好き。

12日(金)さっそく月花舎・ハリ書房さんを、打ち合わせに使わせてもらう。スパイスティーがすごく美味しい。

13日(土)実家の父からライン。盛岡は石割桜が満開だそうだ。老木だから花が白い。私が子どもの頃は5月に桜が咲いていたから、東北も開花時期が早くなっているんだな。

14日(日)来年の新刊打ち合わせ。

16日(火)『光の函』下版。カバー周りは色校が綺麗に出てくれて1回OK。これで来月の個展に間に合う。ほっと胸を撫で下ろす。

17日(水)『本の妖精 夫山徳三郎』発売日。本が好きな人にしか見えない妖精、ぶくちゃんが可愛い!マンガページの下に、ちょっとした書店豆知識(?)ももりこんだ。現役書店員マンガ家の中我生直佑さんのデビュー作、たくさん売れてほしい。

18日(木)電車の中で緊急地震速報がなり、電車なのに事務机があって、その下に隠れて震えている……という夢をみる。宇和島で地震のニュースを見てから寝たせいかな。あー、びっくりした。今日は来週のざっさくプラスの本文閲覧プロトタイプ公開の準備をひたすら。夜は、ネイキッドロフトで「昭和ポップスCMナイト」なるイベントへ。以前、皓星社のサイトに寄稿してくれた、昭和ポップス紹介者のさにーさんと、三園彩華さんのトーク。

20日(土) 何か怖いもの(物理的な攻撃)から逃げているのだが、悲鳴が出なくて苦しい、タイプの悪夢。うなされているところを起こされる。うなされている時は犬みたいらしい。

21日(日)大手町の静嘉堂文庫美術館へ行く。「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎 「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで」を見て、松浦武四郎記念館館長の山本命さんらの鼎談を聞く。いや〜面白かった!武四郎は「北海道」の名付け親として有名なのだけれど、今回は古物マニアとしての松浦武四郎を見ることができる。展示のメインは画家の河鍋暁斎に描かせた「武四郎涅槃図」。武四郎が自分が蒐めた古物に囲まれて横たわっている。マニアここに極まれり。私は自分は蒐集癖はないけれど、物を集めたいという欲望や心のあり様については興味があるので、こういう展示はたまらなく面白い。(松浦武四郎記念館についてはこちら

23日(水)今年はじめての燕を見る。まるで矢印みたいな子燕。メルマガにのせるための3月の日記連載を急拵えでまとめ始める。(そのままだとあまりに心の声がダダ漏れすぎるし長いので適宜割愛)

24日(水)犬飼淳さんの著書『インボイスは廃止一択』校了。他の誰も書いていない、インボイス制度の問題を解説した本になった。この本をきっかけにして、消費税制度そのものの問題に目をむけてもらえたら……という願いをもって、「消費税の嘘がよくわかる本」という副題をつけて、送り出す。

25日(木)『光の函』無事に見本が出来上がり、早速、著者関係者のもとに見本を届けに行く。手にとって「よかった」と言ってもらえるまでは、いつも心が落ち着かない。何か手落ちはなかったかとひやひやものである。佐中さんが喜んでくれて一安心。カメラで描いた絵であり、カメラで書いた詩でもある。そんな写真集になった。

26日(金)本文閲覧スタートをメルマガで告知する。間に合った……。夕方の新幹線に乗って金沢へ。これは私用。

27日(土)金沢市内は震災の影響は、見えない。いつもの華やかな金沢だ。午前中は21世紀美術館、午後は石川県立図書館へ行く。小林昌樹さんの寄稿の通りの図書館なのだけれど、自分で見ると感動もひとしお、壮観だった。金沢に行く人にはぜひ勧めたい、「図書館」の概念がかわるはずだ。屋外スペースには畑があり、図書館の敷地内で玉ねぎを育てていた。秋にはさつまいもを植えて、来館者と収穫をするのだそうだ。夜は、東京からタイミングを合わせてやってきた友人たちと合流して、美味しい日本酒をたくさん飲む。

29日(月)祝日、静かな社内で黙々と仕事。綿田さんの歌集は『赤鉛筆、父、母……。』と決まり、入稿の段取りもついた。あとは1日刻みのスケジュールをきっちり守るだけ。ってそれが大変なんですが。

30日(火)末日はいつも忙しい。半日で支払いを済ませ、データベース関連の業務をして、『赤鉛筆』カバー周り入稿。妹と落ちあい、夜の新幹線に乗って、これからほんの少し帰省。