四六判・並製・234頁 定価1,800円+税
2007年11月発行
ISBN978-4-7744-0422-6 C0026
装丁 藤巻亮一
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大連歴史散歩
竹中憲一 著

歴史に翻弄された人々の夢と挫折の跡
  植民地支配と戦争に蹂躙された人々の汗と涙の跡
    19回にわたる訪問の見聞記


初めて大連を訪れたのは、一九九二(平成四)年の夏のことであった。早朝、ホテルのカーテンを開けると、眼下にとんがり屋根の黄色い旧満鉄の社宅が広がっていた。その社宅を囲むようにレンガ造りの平屋がぎっしり立ち並んでいた。古い地図を片手に大連の街を歩き回った。また公園で古老に話しかけ、昔話を聞いた。(「はじめに」より)


 目 次

はじめに

人と歴史
1 大連という地名の由来――ダルニー
2 地中に眠る後藤新平
3 大連最期の夜――伊藤博文
4 満鉄総裁松岡洋右の第一声――協和会館
5 植民地実業家――相生由太郎
6 岩間徳也と南金書院民立小学堂
7 門外漢の満鉄学務課長――保々隆矣の旧宅
8 阿片王――石本a太郎宅
9 蜷川虎三の大連市経済調査――大連市役所
10 「丸沢常哉は国宝だ」――満鉄中央試験所
11 旅順博物館――大谷光瑞の執念
12 漱石と化物屋敷
13 君死にたまふこと勿れ――与謝野晶子の詩碑
14 地中から出てきた子規の句碑
15 日本ペン部隊佐多稲子――満州日日新聞
16 吉川英治文学の開花――日本橋ホテル
17 円生、志ん生の大連暮らし――常磐座
18 さらばワセダよ――東海林太郎
19 古代ハスに魅せられて――大賀一郎
20 満州馬賊――辺見勇彦の故居
21 大連の郭老太太――郭安娜の旧居
22 市長サハロフ大連脱出――市長公邸
23 旅順監獄と安重根
24 炊き出しを続けた民族資本家――周文貴の故居
25 「向応同志不死」――関向応の故居
26 男装の麗人、川島芳子と大連
27 閻錫山の別荘――文化街
28 大連の大買弁資本家、張本政――政記公司
29 日本人になった男――劉雨田の故居

植民地の爪痕
30 旅順大虐殺――万忠墓
31 金州郊外の万人坑――旧陸軍病院
32 大連の七三一部隊――大連衛生研究所
33 碧山荘――「舌のない人間」のたこ部屋
34 阿片の話――北京街阿片窟
35 「慈善団体」――大連宏済善堂
36 満鉄の頭脳――満鉄図書館
37 「満州」開拓の魁――愛川村
38 大連病院の霊安室
39 ソ連進駐――大連ヤマトホテル
40 旅順のラストエンペラー――旅順ヤマトホテル

学 校
41 大連最初の小学校――大連小学校
42 大連文学の揺籃――大連第一中学校
43 植民地の良妻賢母――高等女学校
44 ポコペン――大連語学校
45 屈折する抵抗――旅順第二中学校
46 先生は清岡卓行――大連日僑学校
47 民族教育の揺籃――大連中華青年会会立小学校
48 「北帰行」夜話――旅順高等学校
49 「満州国」国歌制作の由来――南満州教育会教科書編輯部

歴史事跡
50 倭寇大敗北――望海堝
51 山川草木転荒涼――金州南山
52 日清戦争と三崎山
53 小説『肉弾』の舞台――東鶏冠山

街の話
54 大連住宅事情――満鉄社宅
55 坂の街の市民の足――路面電軍
56 大連野球熱――中央公園の 二つの野球場
57 大連の青楼――逢坂町
58 行くも帰るも――大連港
59 モスコウフスキー大街から山県通りへ――人民路
60 南山麓の憩いの場――鏡ヶ池
61 聖徳太子堂――中国に渡った妹?
62 ロシア教会――六角堂
63 大連のキリスト教――大連聖公会礼拝堂
64 大連神社と水野宮司
65 コーランの響き――北京街清真寺

参考文献

 

この著者の関連書籍:
☆『「満州」オーラルヒストリー――〈奴隷化教育〉に抗して』
☆植民地教育体験の記憶 (植民地教育史研究年報07◎2004年)
 
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