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四六判・上製・264頁 定価2,400円+税
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2004年11月発行 |
ISBN4-7744-0373-3 C0095 |
装丁 藤巻亮一 |
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山中捨五郎記――宿業をこえて
林 力 著
「何故に父を隠す」
「一人娘にも隠しつづけるつもりなのか」
屈折の想いの果てに筆をとった。それが『癩者の息子として』であった。父の没後十年を経ていた。――本文より
「癩者」の息子を名乗ってから30年。父として、先達として、絶えることなく向き合ってきた「山中捨五郎」の生き様。著者は、父のハンセン病者としての辛酸と苦悩の人生の到達として、宿業をこえた最後の願求使命感に思いをはせる。
生命がけ われらが園に 御寺建てし
山中五郎 南無阿弥陀仏
陸の孤島、星塚敬愛園。人間を追い込んだ権力の仕組みの中で、恩愛の絆に悩み、科学と宗教の葛藤を超えて、親は子を思い、子は親を思う。この父にしてこの子あり。著者林力先生は私の最も尊敬する碩学、同志のお一人。貧苦逃亡の中で育った著者が非業に死した父を思う慟哭の書である。読んで不覚にも涙した。現代教育を論じる人びとに読んでほしい。母親や若者たちに考えてほしい。――オビより
国際医療福祉大学総長 大谷藤郎
目 次
一、はじめに
二、発病、収容
三、一大家族主義
四、プロミン
五、挫折
六、恩愛
七、悲願
八、建立
九、「宿業」をこえて
あとがき
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