倫理的で政治的な批評へ
――日本近代文学の批判的研究
綾目広治 著
ポストモダニズム、反動化、<帝国>化する世界を視野に入れ、近代文学研究を<知の遊戯>から解き放ち、倫理・政治の側面
から読み解く画期的な評論集。
著者紹介
綾目広治(あやめ・ひろはる)
1953年広島市生まれ。京都大学経済学部卒業。広島大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、ノートルダム清心女子大学文学部教授。「試想」同人。「千年紀文学の会」会員。
著書に『脱=文学研究 ポストモダ ニズム批評に抗して』(日本図書センター)、『アジアのなかの日本文学』、『アジア・ナショナリズム・日本文学』、『過去への責任と文学』(いずれも共著、皓星社)など。
目 次
■序にかえて 批評の現在―思想の反動化に抗して
■第一部 現代思想と日本文学
有島武郎と大杉栄―本能、個性、社会
中野重治と天皇制―「雨の降る品川駅」から「五勺の酒」へ
批評の課題と現代思想
柄谷行人の新たな<転回>―認識から実践へ
■第二部 アジアと日本近代文学
有島武郎と魯迅――アジアからの視線
『上海』『旅愁』のナショナリズム
―横光文学のなかのアジア・日本・ヨーロッパ
ジャワ徴用文学者のアジア観
―日本型オリエンタリズムについて
竹内好のナショナリズム論―中国と日本をめぐって
■第三部 脱=文学研究の領域へ
異文化論の陥穽――翻訳についての原理的考察から
記憶と歴史――認識の問題をめぐって
文学教育で今問われていること ―田中理論の特質と可能性
ポストモダニズム以後の<読むことの倫理>
―サルトルを再読する
■結びにかえて
倫理的で政治的な批評へ
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