植民地教育史研究年報 ◎2001……04
植民地教育の支配責任を問う
日本植民地教育史研究会 編
2001年、『新しい歴史教科書』(新しい歴史教科書をつくる会編)をめぐって起こった大論争。
植民地教育史研究に携わるものがはたす責任として、歴史教科書問題と植民地教育を特集する。
昨年、あまりにも突然逝ってしまわれた小沢有作先生(日本植民地教育史研究
初代代表)の、 絶筆となった遺稿も収録。
本稿は『新しい歴史教科書』 を「アジアに背を向ける歴史教育」と批判。問題とされるべきは歴史観であり、検定の強化ではないとし、教科書検定にも廃止を求める。
目次
■はじめに…年報第4号編集委員会
■特集 歴史教科書問題と植民地教育
『新しい歴史教科書』批判
アジアと共に歩む歴史教育
――「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書に
たいする見解――…日本植民地教育史研究会運営委員会
「アジアの孤児」をつくる歴史教科書…宮脇弘幸
植民地支配責任は語られなかった
――『新しい歴史教科書』の歴史記述を問う――…佐藤広美
歴史教科書問題に思う(エッセイ)
不寛容の時代を生きる
――歴史教科書問題に思う――…楠原 彰
歴史教科書の問題に寄せて…蔵原清人
大東亜会議「共同宣言」と国連「植民地独立付与宣言」について
…弘谷多喜夫
〈新自由主義〉と日本版「歴史修正主義」…松浦 勉
「新しい歴史教科書をつくる会」の言動を見て思ったこと
…劉 麟玉
東アジア史における日本への歴史認識…中野 光
歴史教科書問題の背景を考える
「教科書」を問う 歴史を問う…佐野通夫
近年の教科書政策と歴史教科書問題…井上 薫
■論文
仏領インドシナ、ヴェトナムにおける植民地言語教育とその政策
…下司睦子
日中戦争期の朝鮮、台湾における日本語教育事情…多仁安代
建国大学における理念と実相
――皇道主義教育思想とその言語政策論をめぐって――
…田中 寛
■ 方法論の広場(研究動向)
――第4回日本植民地教育史研究国際シンポジウムより――
第4回日本植民地教育史研究国際シンポジウム
――植民地教育史研究の方法についてのノート――…渡部宗助
日本植民地教育史研究の意義と課題
――日本近現代障碍者問題史研究の立場から――…清水 寛
韓国における日帝植民地時代教育史研究動向…鄭在哲
台湾における日本統治期の教育史に関する研究動向について
――特に最近10年(1991-2000)の成果を中心として
…呉文星
■書評
竹中憲一著『「満州」における教育の基礎的研究』…槻木瑞生
佐藤由美著『植民地教育政策の研究[朝鮮・1905-1911]』
…廣川淑子
王智新・君塚仁彦・大森直樹・藤澤健一編
『批判:植民地教育史認識』…三ッ井崇
渡部宗助、竹中憲一編『教育における民族的相克
――日本植民地教育史論』…石川啓二
安川寿之輔著『福沢諭吉のアジア認識
――日本近代史像をとらえ返す』…中島 純
長野県歴史教育者協議会編
『満蒙開拓青少年義勇軍と信濃教育会』…一盛 真
呉成哲著『植民地初等教育の形成』…古川宣子
陳培豊著『「同化」の同床異夢
――日本統治下台湾の国語教育史再考』…前田 均
■ 編者自身の資料紹介
磯田一雄他編『在満日本人用教科書集成』…金 美花
■ 追悼 小沢有作先生
小沢有作先生略年譜
追悼文(宮脇弘幸、楠原 彰、柿沼秀雄、佐藤広美)
歴史教科書問題に寄せて 小沢先生のご遺稿です
――荒あらしい現代の転向者の言説…小沢有作
■研究会の歩み 「植民地教育史研究」第9号、第10号
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