2001.10.26創刊 ---------------------------------------------------------------------- ### 皓星社レファレンス・ガイド ### ---------------------------------------------------------------------- 図書館レファレンス業務のためのお役立ちニューズ・レター 2001.10.26 No.1 株式会社皓星社発行 編集担当:上田悟司 ---------------------------------------------------------------------- # 目次 # ---------------------------------------------------------------------- ○発刊のご挨拶 ○『日本人物情報大系』(全10回・100巻)完結のお知らせ ○『人物』と『雑索』の使い方について 「甘粕正彦」の巻 ○ホットサイト イスラムと狂牛病 ○編集後記 ---------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------- ○発刊のご挨拶 日頃、皓星社のレファレンス・ツールをご愛顧戴き誠にありがとうございま す。 皓星社ではメールマガジン『皓星社通信』を送らせて戴いておりますが、い っそう図書館関係の皆様への<お役立ちメール>を目指して『皓星社レファレ ンス・ガイド』を創刊いたしました。 今回は、『日本人物情報大系』完結を機に改めてご挨拶とご案内をさせて戴 きたくこのメールマガジンをお送り致します。小社の参考書籍ともどもお役に 立てれば幸甚に存じます。 ○『日本人物情報大系』(全10回・100巻)完結のお知らせ 小社は、国会図書館発行の雑誌記事索引(雑索)の戦前編ともいうべき、 『明治・大正・昭和前期雑誌記事索引』(社会科学編全70巻、人文科学編 全50巻)を1997年末に完結致しました。 これに次いで、人物レファレンスのための『日本人物情報大系』を1999 年より刊行し、本シリーズも次回第10回配本「宗教編」をもって全100巻を 完結するまでに至っております。 ただ、この膨大な人物情報の塊について、参考資料としていかなる性格の ものかと、戸惑われる利用者の方々もいらっしゃると思われます。そこで改 めてその特徴を以下に挙げてみました。利用の際の参考に供して戴ければ幸 いです。 『日本人物情報大系』の特徴 1)これまでの人物情報関連の代表的ツールである人名辞典、人物事典に比 較して収録人数が膨大であり、全巻で100万人に迫るものとなっていること。 2)単独の伝記や人物研究の対象とされるような偉人、著名人以外の、叢伝・ 列伝類に収録された在野人士を収め得たこと。 3)この巨大な人物情報から『被伝記者索引』を作成し、弊社ホームページか らもこの『被伝記者索引』データを利用可能としたこと。これによって、研究 者の方々はたとえば深夜の御自宅からでも予備調査が可能となっております。 これら三つの特徴により、「人物情報にだれにでも容易にアクセス。近代日 本の潜在的ネットワークを掘り起こす」(山口昌男)ことが可能となりまし た。このことは、時代閉塞の状況下にある21世紀の日本のバックボーンが、い ったい如何なるものであったのかを現代の私たちに改めて示唆するものと言え ましょう。近代日本研究の必須のツールのひとつと称して過言でないと自負し ております。 また、この圧倒的情報量が、私たちの身近な二世代・三世代前の人たちの活 躍を、現在の私たちの眼前に彷佛とさせる愉しみももたらします。人物調査 は、近々百数十年ことであっても意外に困難なものですから、「民衆の近代 史」を調べる有用なレファレンス・ツールとしてもお役に立つと考えておりま す。 収録資料一覧等のさらに詳しい情報は下記のURLで御覧になれます。 http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rbjin.html ○『人物』の使い方について 最も基本的な使い方は、氏名が判明している場合には、被伝記者索引や小 社のホームページにある検索エンジンを利用して検索することが最も簡便で す。 一方、氏名が判明していない場合、収録されている列伝・叢伝に直接当る ことになりますが、活動分野ごとに巻を構成していますので、その視角から絞 氏名が分かっていている場合の一例をあげます。 「甘粕正彦」は、関東大震災時、大杉栄等を虐殺した憲兵分隊長として有名 ですが、その後旧満洲に渡り、満洲映画協会理事長を歴任し、映画界に貢献し ます。以下に検索結果を転載します。 人物: 甘粕正彦 姓名 ヨミ 巻-頁 甘粕正彦 アマカスタダヒコ 満州編13-71、14-36、15-36、19- 392、企業家編39-233 甘粕正彦 アマカスマサヒコ 満州編13-71、14-36、15-36、19- 392、企業家編39-233 下記のURLにアクセスして是非試して見てください。 http://www.libro-koseisha.co.jp/f_j_all.htm また、小社の『明治・大正・昭和前期雑誌記事索引』(略して『雑索』)で も、執筆者として検索しますと下記のような結果が得られました。 執筆者: 甘粕正彦 姓名 出典 甘粕正彦 日本社会衛生年鑑 21-89 甘粕正彦 人文科学篇16-134、19-7巻10号9、20-8巻4号26 下記のURLが検索ページです。是非お試しを。 http://www.libro-koseisha.co.jp/f_all.htm こうしてみると、大杉栄虐殺事件の下手人という先入観とはかなり異なる側面 が浮き彫りになってくると思われます。 ○ホットサイト ここでは、最近の熱い話題に関して一通りの知識を得るに便利なサイトを紹 介するつもりです。 9月のニューヨークにおけるテロ事件によって改めてイスラム教に世界の耳 目が集まりましたが、イスラム教そのものを知ることは相変わらず簡単ではあ りません。そんな中で、イスラム教の立場からではありますが、分かりやすい サイトを以下に挙げます。ちなみに、『怪傑マホメット』という面白そうな本 が明治38年(1905)に東京で出版されていますね。未見なので内容は不明です が、そのうち知りたいと思っています。 「Islamのホームページ」 http://www2s.biglobe.ne.jp/~racket/ その一方で、全く同時期の日本では、狂牛病のドタバタがありました。ニ ュースバリューからテロ事件の影に隠れがちですが、日本行政府の事後処理の まずさが一段と問題を大きくしたことは見のがしてはならないでしょう。狂牛 病に関しては、英国の科学雑誌 Nature に掲載された記事の翻訳と、日本人の 医師で英国での狂牛病騒動当時ちょうど在英しており、それでも牛肉を食べて いたという人物の基本解説を御紹介しておきます。 「日本のとった呆れかえる狂牛病対策」 http://www.natureasia.com/japan/webspecial/bse/ 「狂牛病の正しい知識」 http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bse.html 国立犀潟病院 臨床研究部 池田正行 ○編集後記 多少ともお役にたてるものを、という考えて構成したつもり ですがいかがだったでしょうか。『人物』の編集過程でいくつ もの興味深い事柄にぶつかりましたので、それらをおいおい掲載 していければと思っています。次号では、明治初年の日本初の女子 留学生である津田梅子(津田塾大学創始者)、山川捨松(陸軍卿 大山巌の妻、鹿鳴館の名花)、の他のもう1人について『人物』で 調べる実例を挙げる予定です。また、イスラムの話題で、井筒俊彦 (イスラム哲学)と大川周明(国家主義思想家)の戦時下の交流な どのエピソードもありますので、ホットサイトで引き続き触れるつ もりです。 2001年10月 ============================================================ ☆ ご意見、ご感想をお寄せください。投稿もお待ちしています。 ueda@libro-koseisha.co.jp 発行所 株式会社 皓星社 166-0004東京都杉並区阿佐谷南1-14-5 TEL03-5306-2088 FAX03-5306-4125 ============================================================ |