人物宗教

B5判・上製・全10巻・各巻平均600頁 
定価180,000円+税
ISBN4-7744-0335-0 C3300
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日本人物情報大系 第10回
宗教編
編集部 責任編集・解題




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一 はじめに

 日本の宗教は、大別して神道系、仏教系、キリスト教系とそれから派生した「新宗教」があり、その他は非常に少数である。 これらについては、文部省宗務局から『宗教要覧』が刊行されているが、たとえば一九一六年刊行のそれは、わずか一二頁の小冊子で実態をすべて把握しているとは言いがたい。また『宗教要覧』自体の刊行の実態もつまびらかでない。 また同様に『宗教事務職員録』が文部省宗教局から刊行されている。たとえばこの一九二二年版は三〇〇頁を超える大冊だが、単なる名簿に過ぎず、「伝記資料」という本大系の要求を満たすものではない。また、この職員録も年刊あるいは何年かおきに刊行されたように思われるが、実態を明らかにはしえなかった。 したがって、日本の宗教界全体を網羅的に把握することは、教団レベルでもなかなか困難で、関係者の伝記資料となるとその困難は倍加するといわざるをえない。 しかし、最近はインターネットによる情報発信が進み、一端をかいま見ることができる。一、二例示すれば次のようなウェブサイトから基本的な情報を得ることができる。
  まず、財団法人国際宗教研究所の宗教リサーチセンター(http://www.rirc.or.jp/)宗教教団情報データベースで三六一団体(二〇〇一年一二月現在)の沿革等を検索できる。 特に情報の少ない新宗教系に関しては、現在、教派神道連合会と新日本宗教団体連合会の二つの連合組織があり、教派神道連合会には、出雲大社教、大本教、御嶽教、黒住教、金光教、實行教、神習教、神道修成派、神道大教、神理教、扶桑教、禊教が加盟している。 また、新日本宗教団体連合会のホームページ(http://www.shinshuren.or.jp/)からは、加盟する教団の所在地、創始者の略歴、現代表者の略歴、沿革、教旨、年中・月例行事を知ることができる。 加盟団体は、阿吽阿教団、医王山立宗、一尊教団、円応教、大神教、救世真教、解脱会、現證宗日蓮主義仏立講、護国不動尊本宮、思親会、修養団捧誠会、松緑神道大和山、出雲神道八雲教神人会教団、真生会、真理実行の教、神霊の家、聖中道会、世界心道教、善隣教、大和教団、玉 光神社、大慧會教団、大法輪台意光妙教会、澄禅律院、天恩教、天心教、天真教、天壤教、七曜会、日本神宮本庁、パーフェクト リバティー教団、日月神一条、日之教、平和観音妙庵、法公会、妙道会教団、三輪神道宏充教、立正佼成会、良辨教本部教会、霊波之光教会、和光道教団。 また書籍では、次のようなものがある。
  ○ 神々多忙:新宗教教祖列伝(滝泰三著)一九五六・五 新夕刊新聞社 戦後の新宗教の全体像は、一九九〇年弘文堂より刊行されている『新宗教事典』がその慷慨を与えている。その後、この書は、一九九四年に本文篇(同編)が、一九九六年には『新宗教教団・人物事典』(同編)がそれぞれ弘文堂より刊行されており、戦後伸長した新宗教についてはこれらを参照することで人物情報も得られる。
  ○ 新宗教事典 (井上順孝他篇)一九九〇・三 弘文堂 神道に関しては、一九五五年に『神道人名辞典』が、一九八六年と一九九一年に神社新報社編として、改訂版が刊行されている。神道関係者については、これらを参照されたい。
  ○ 神道人名辞典 昭和三〇年版(西口重一編)一九五五・三 神社新報社
  神道、およびその流れを組むことの多い新宗教で、一九四五年以前の人物情報の少なさに関して一つの推測を挙げるとすれば、それぞれの宗教の受容層の質的相違を考えることができる。つまり、仏教は近代において宗勢が衰えたといえどもその千年及ぶ活動によって僧侶の中に学僧がおり、宗徒の中にも知識人層が存在した。また、近代において実質的に受容が始まったキリスト教はいわゆる西欧文明そのものとして理解され、庶民層より武士出身の知識人層を主な受け皿としていたと考えられる。両宗教には文字を読むと同時に書くことにも少なからず慣れている層がいた訳である。しかしながら、神道は江戸期まで体系化の試み(垂加神道、平田神道等)が存在したとはいえ、明確な教団を作って組織的な布教活動をしていたとは言い難く、庶民層にとっては産土神のような自然宗教としてのみ存在した。また、近世末期から昭和前期までに勃興した新宗教はその受容層の中心は貧しい庶民層であった。このように、文字による情報発信において、伝統のある仏教や知識人層に選択的に受容されたキリスト教に比較すると、神道、新宗教は、ハンディキャップをもっており、こういった側面 が人物情報のアウトプットにおいて量的差がでたのではないかと考えることができるのである(この部分、上智大学文学部の芳賀学氏のご教示による)。 以上の次第で、一九四五年以前の神道および新宗教に関しては、残念ながら適当な資料がなく、この分野は収録できなかった。 仏教の人物情報においては本編に収録したもの以外にも質の高い資料がいくつか存在したが、宗派毎の過不足が目だった為、残念ながら本編では割愛せざるを得なかった。左記がそれである。
  ○ 真宗僧名辞典(井上哲雄編)一九二六年 龍谷大学出版部
  ○ 曹洞宗名鑑(安藤嶺丸編)一九一六年 壬子出版社

二 各巻概要
  本編に収録した資料の概要は、次のとおりである。

▼ 「宗教編」(九一巻)
  本「人物情報大系」においては、九一巻を宗教一般とし『宗教年鑑 昭和一四年版』の中の「職員録」「人名録」部分、『宗教大観』全四巻のうち第四巻「護教編」を、縮刷し収録した。これにより昭和前期までに活躍した宗教家の略歴を概観することができる。 また、戦後早くに文部省から、『現代宗教界名簿』が、刊行され一五四ページの小冊子ながら、関係者の略歴があり当時を概観するには格好の資料であるが、文化庁宗務課から収録の許可が下りなかった。不許可の理由は、住所の記載があり、プライバシー保護の点から懸念があるとのことであった。
  ○ 現代宗教界名簿(一九五三年 文部省調査局宗務課) 村田鉄三郎編輯、有光社一九三九年発行の『宗教年鑑 昭和一四年版』のうち、「職員録」および「人名録」の部分は、収録人数は、約一二、〇〇〇名である。 この有光社発行の『宗教年鑑』について、NDL、国立情報学研究所のWeb cat、その他可能な限りの調査の結果 では、昭和一四年版(一九三九年刊)以外の刊行は確認しえていないが、経歴を含めた人物情報と組織人事についての情報が、昭和一〇年代の宗教界全般 を網羅している点を考慮して収録することとした。 原本に対する縮小率は七九%である。各頁に原本二頁を収めた。 読売新聞社一九三三年発行『宗教大観』第四巻(護教篇)の収録人数は、一一四八名である。 原本に対する縮小率は、扉のみ六六%、他は七六%、各頁に原本二頁を収めた。

 ▼「宗教編」(九二巻)
 本編は、鷲尾順敬著、光融館一九一七年発行の『日本仏家人名辞書』増訂三版を収録した。 初版は一九〇三年、増訂再版が一九一一年に同出版社から出ている。原本九一八頁は一一八頁とあるが、これは誤植である。収録人数は、約六、〇〇〇名である。 原本に対する縮小率は七二%である。各頁に原本二頁を収めた。

 ▼「宗教編」(九三巻)
  本編は、井上泰岳編纂、現代仏教家人名辞典刊行会一九一七年発行『現代仏教家人名辞典』を収録した。 収録人数は緒言では四千有余名となっているが、実際は三四八八名である。 原本に対する縮小率は、巻頭六頁の題字部分は八〇%、他は八五%である。各頁に原本二頁を収めた。

 ▼「宗教編」(九四・九五巻)
  仏教年鑑(仏教年鑑社)一九二九〜一九三八年 本編は、仏教年鑑社編、同一九二九〜一九三八年発行の『仏教年鑑』のうち、各年版において、「人事篇」、「現代著名仏家人名録」、「現代仏教家人名録」と称されてすべての年鑑に継続的に掲載されている人物情報部分を収録した。(一九二九〜一九三五年は第四巻に収録)収録人数は、延べで約三二、〇〇〇名である。 原本に対する縮小率は六七%である。各頁に原本四頁を収めた。 『仏教年鑑』は、昭和五年版(一九二九年刊)から始まり、昭和一三年版(一九三八年刊)まで毎年継続して出版されている。昭和一三年版が終刊の版であるか明確ではないが、NDL、国立情報学研究所のWeb cat、その他可能な限りの調査の結果 では、昭和一四年以降の刊行は、確認しえていない。また重複する人物は多いが、昭和前期の仏教界の人物情報を連続的に俯瞰できる重要性に鑑み、判明したすべてを収録した。

 ▼「宗教編」(九六巻)
  本編は、堀田達治編纂、教文館一八九七〜一八九九年発行の『基督教名鑑』を収録した。 収録人数は個人、宣教師合計で約四八〇〇名である。原本に対する縮尺率は、一二五%である(ただし、基督教信徒統計表はそれぞれ、一〇九%[一八九七年]、一〇四%[一八九八年]、九四%[一八九九年]とした)。各頁に原本二頁を収めた。

 ▼「宗教編」(九七巻)
  本編は、『日本基督教徒名鑑』第二版、『三信十 年仰基督者列伝』、『人物による日本カトリック教会史』を収録した。 谷龍平編輯、中外興信所一九一六年発行の『日本基督教徒名鑑』第二版。 本編は経歴を含む人物情報ではないが、大正初期の教派を超えたキリスト教界全体の人物データは他に少ないことを鑑み収録した。なお初版は一九一四年に同所から出版されている。 本書の底本は、二頁に次いで五頁となり、三、四頁が欠けている。底本のほか、国立情報学研究所のWeb catで唯一検索される北海道大学所蔵本においても、問い合わせの結果 、三、四頁は欠落しているとの回答を得た。したがって、現在までの調査では、元来三、四頁は何かの事情で欠落しているものと推定される。 収録人数は、約一七、〇〇〇名である。 原本に対する縮小率は六四%である。各頁に原本四頁を収めた。 警醒社編纂、警醒社書店一九二一年発行の『三信十 年仰基督者列伝』。 収録人数は八五六名である。 原本に対する縮小率は八五%である。各頁に原本二頁を収めた。 池田敏雄著、中央出版社一九六八年発行の『人物による日本カトリック教会史』。 収録人数は、九九名である。 原本に対する縮小率は、六七%である。各頁に原本四頁を収めた。

 ▼「宗教編」(九八・九九・一〇〇巻)
日本基督教連盟編(一九二七年から日本基督教連盟年鑑部)、同一九二四〜一九四一年発行の『基督教年鑑』のうち、人物情報である「フースフー」の部分を収録した。(一九二四〜一九三一年は第八巻、一九三二〜一九三六年は第九巻に収録) 収録人数は、延べ二四〇〇〇名である。 『基督教年鑑』は、大正五年版から始まり、七年、八年、一〇年、一一年、と発刊されているが、経歴まで記載した「フースフー」に類する人物情報が確認できるのは大正一四年版から昭和一六年版まである。ただし、大正一二年版は発刊を確認できず、大正一三年版は関東大震災(一九二三年)の影響で未刊となっている。また重複する人物は多いが、『基督教年鑑』が大正末から昭和前期の基督教界の人物情報を継続的に俯瞰するための格好の資料と判断し収録した。
  一、 本巻に収録したものには大扉がない。本書の扉は便宜上、編集部で作成したものである。
  二、収録人数は、延べ二四〇〇〇名である。
  三、原寸で各頁に原本二頁を収めた。

日本基督教団年鑑 昭和一八年版(日本基督教団総務局編纂)一九四三年
  一、本編は、日本基督教団総務局編纂、日本基督教団出版局一九四三年発行の『日本基督教団年鑑 昭和一八年版』のうち、「日本基督教団役員及委員一覧」「日本基督教団教区役員一覧」「日本基督教団教師一覧」を収録した。
  二、本編は経歴を含む人物情報ではないが、戦時下におけるキリスト教界人物データとしての希少性と『基督教年鑑』の後継出版物としての性格を鑑み収録した。また、NDL、国立情報学研究所のWeb cat、その他可能な限りの調査の結果 では、一九四五年以前において、昭和一八年版(一九四三年刊)以外の刊行は確認しえていない。
  三、収録人数は、約五〇〇〇名である。
  四、原本に対する縮小率は九五%である。各頁に原本二頁を収めた。扉はなかった。
  五、本編が『基督教年鑑』の後継出版物と見なしうる事情は以下のようである。『基督教年鑑』の発行主体は日本基督教連盟であったが、これはプロテスタント諸派の連絡協調機能以上のものは持っていなかった。一方、戦時体制の昂進とともに政府の宗教界への介入は強まり、ついには一九三九年公布翌一九四〇年施行の宗教団体法と政府の強い指導監督の下、一九四一年に戦時下唯一プロテスタント合法教団として日本基督教団が創立された。そのため日本基督教連盟は不要となり、そこから発行されていた『基督教年鑑』も立ち消えとなった。この新しい団体から発行されたのが本編である。以上の理由により、本編を『基督教年鑑』の後継出版物とみなした。

 

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