2001.7.31 No29
■■■■■■■■■■■ 皓星社通信 ■■■■■■■■■■■■
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◆◆ 皓┃星┃社┃通┃信┃          ◇2001年7月31日号  No29◇
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隔週刊行(の予定は未定ですが……)
                                    発行所 株式会社 皓星社
                  編集長    川尻 絵馬
                166-0004東京都杉並区阿佐谷南1-14-5
              TEL03-5306-2088    FAX03-5306-4125
                   info@libro-koseisha.co.jp
【等幅フォント推奨】     http://www.libro-koseisha.co.jp

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☆☆ 目 次 ☆☆

1.【東京地裁で合計568人和解成立! ハンセン病国賠訴訟】
ハンセン病国賠訴訟の勝利に思う            冬敏之

2.皓星社から
  ● 『ハンセン病文学全集』編集室新聞発行のお知らせ
  ● 新刊のご案内

◎編集後記
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☆ たびたびお伝えしておりますハンセン病国賠訴訟。7月27日、
東京地裁で 486人の和解が成立しました。続けて、本日新たに82人
の和解も成立。今回は和解を記念した特別号です。作家 冬 敏之さ
んにご執筆いただきました。
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ハンセン病国賠訴訟の勝利に思う
――「もういいかい」「まあだだよ」――
                        作家・ハンセン病国倍訴訟原告 冬敏之

 本年5月11日に、熊本地裁で画期的なハンセン病訴訟の勝利判
決が下された。

 これは私にとって非常な喜びではあったが、同時に今後のさまざ
まな問題解決を考えると身の引き締まる思いもした。ハンセン病は
1909年に療養所が設置されて以来、90年を越す隔離撲滅政策
の歴史をもっている。この間、二万三千余の入所者が、無念の思い
を秘めて死んでいったと、私は考えている。

 もともと、ハンセン病は感染率が低く、菌そのものも他の細菌に
比べてきわめて、弱いため、現代に至るまで培養ができない。この
ことと深く関連していると思うが、入所者のうち四割以上の人々が
自然治癒、または「病気が固まった」と言われ、顔や手足に若干の
後遺症を残しながらも、病気の進行が停止するのである。こうした
人々はいわゆる療養所の運営のために意図的に収容されたのではな
いかと思われる。予算的に見ても、職員の二十分の一程度の費用で
所内のさまざまな仕事に従事させたのである。

 こうした人々は、本来療養所にいる必要はなかったはずであった。
十分な社会復帰のフォローと社会の受入態勢さえあれば、違った人
生を歩めたと思う。しかし、「無らい県運動」やらい予防法の強制
収容、終生隔離の政策により、社会復帰のための職業訓練など考え
られる支援策がいっさい取られなかった。


 今回の裁判の焦点一つは、こうしたハンセン病患者、元患者への
不当な隔離撲滅政策に終始した政府の人権侵害を問うものであった。
平均年齢74歳を越す入所者は、もう社会復帰が可能な人々はごく
少数に過ぎない。私のように社会復帰をしている人たちも、平均年
齢はほぼ同じであろう。考えてみるとあまりにも遅すぎた勝利と言
えるし、真の意味の人間回復への道はまだ遠い。

 心のどこかで望んでいる郷里の家族の墓へ遺骨を収めらる人は何
人いるのであろうか。「もういいかい」と元患者が聴くと「まあだ
だよ」と墓を守る郷里からの返事があったと言う話しが、がぜん真
実味をおびてくるのである。

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■■関連リンク集■■

ハンセン病国賠訴訟 和解に関するニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/leprosy
http://news.lycos.co.jp/topics/science/hansen.html

冬さんの短編小説集『ハンセン病療養所』の書評
http://www.ea.ejnet.ne.jp/kawakami/fuyutoshiyuki.htm

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■■ハンセン病関係 新刊■■

● 皓星社ブックレット12 刊行!
『証人調書(3)・「らい予防法国賠訴訟」犀川一夫証言』
ハンセン病国家賠償請求訴訟弁護団 編
              A5判 約180頁 並製 定価800円+税

  2000年3月28日・3月3日に熊本地裁で行われた犀川氏(沖縄県ハ
ンセン病予防協会理事長)の証言を全文収録。
 くわしくはこちらから。
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb912.html

● 皓星社ブックレット13 『寺島萬里子写真集 病癒えても』
            A5判 並製 144頁 定価1,800円+税
             
 国立ハンセン病療養所栗生楽泉園の入園者の日常生活を綴った写
真集。入園者の方の聞き書きや年表などの解説付きです。皓星社通
信でおなじみ谺雄二さんのお姿も。
 くわしくはこちらから。
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb913.html
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【皓星社から】

● 『ハンセン病文学全集』編集室新聞発行のお知らせ

 『ハンセン病文学全集』編集室から編集室新聞を発行します。そ
の名も「みみずく通信」。記念すべき第1号では、7月6日に行っ
た編集会議の模様を大公開いたします。編集委員の鶴見俊輔先生、
加賀乙彦先生、大岡信先生の激論や、今回ご執筆いただいた冬さん
の真摯なご意見など、見どころ盛りだくさん。加えて、膨大なハン
セン病関係書籍目録稿(1920〜1994年)も収めました。ご
希望の方は「みみずく通信希望」とお書き添えの上、下記までお申
し込み下さい。
ema@libro-koseisha.co.jp

☆ 「ハンセン病文学全集編集室 編集日誌」も好調です。
http://www.libro-koseisha.co.jp/diary/diary.html
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■■新刊のご案内■■

● 『蒐書日誌』1、2
          四六判・上製 1巻 404頁 定価2,800円+税
                                 2巻 300頁 定価2,400円+税

 鶴見大学教授の著者が古書店めぐりの楽しみを日記形式で綴った
もの。書名・人名索引つきで、読書ガイドとしても最適な盛りだく
さんの内容です。日本図書館協会選定図書。

 くわしくはこちらから。
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb1139_40.html

● いよいよ刊行! 『朝鮮科学技術史研究―李朝時代の諸問題―』
          A5判・上製・本文418頁 定価4,000円+税

 朝鮮大学校の任正■先生(編集部注… ■には偏=火、旁=赫が入
ります。イム・ジョンヒョク、Im,Jong-Hyok) による、本邦初の朝
鮮科学技術史の研究書です。科学史・朝鮮史研究者必携!
 
『朝鮮科学技術史』に関するお問い合わせは
info@libro-koseisha.co.jp
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【編集後記】
● 巣つばめや面妖なりし伊勢うどん……阿佐ヶ谷だいこん屋ご主
人、松本さんの伊勢うどん評です(くわしくは皓星社通信28号をご
覧ください)。この悪名高き伊勢うどんに、わたくし川尻がトライ
いたしました(ただしブツは通販でゲット)。柔らかすぎるめんは、
しばしば腰がないと評されますが、どちらかというとふんわりして
いるというかんじ。ファンシーなめんに対して突然硬派の溜まり醤
油のつゆ(というより、タレ?)が味のアクセントになっています。
ケッタイな食べ物と思っていましたが、恐るるに足らず。おいしく
いただきました。余ったつゆで食べたおもちも美味でした。

☆ 皓星社通信28号
http://www.libro-koseisha.co.jp/top11/top11.html

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