2001.1.29 No13
■■■■■■■■■■■ 皓星社通信 ■■■■■■■■■■■■
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◆◆ 皓┃星┃社┃通┃信┃           ◇2001年1月29日号No13◇
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隔週刊行(頻繁に増刊の予定ですが……)
                                    発行所 株式会社 皓星社
                  編集長    川尻 絵馬
                166-0004東京都杉並区阿佐谷南1-14-5
              TEL03-5306-2088    FAX03-5306-4125
                   info@libro-koseisha.co.jp
【等幅フォント推奨】     http://www.libro-koseisha.co.jp
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【目 次】
 1.ハンセン病とともに(4)              谺 雄二

 2.皓星社から
   ●『レプラなる母』発刊!
   ●編集後記
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☆ 今回はハンセン病国賠訴訟原告東京団長の谺 雄二さんによる
『ハンセン病とともに』。前号でもふれたとおり、1月12日、熊本
地裁の「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟が結審しました。
判決が出るのは5月11日です。

☆ 裁判の進展に合わせて刊行中の「皓星社ブックレット」もいよ
いよ10冊目。刊行は2月下旬の予定です。

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ハンセン病とともに(4)               谺 雄二

  九州の療友たちが熊本地裁へ提訴に至る8カ月の間、では私はい
ったい何をしていたかだが、じつは裁判を起こす準備としてハンセ
ン病関係資料の蒐集をめざしていたのだ。もちろんねらいは厚生省
内に保管されているであろう未公開資料で、それらがどういう内容
のものか、またどう入手すべきかなど、さまざまな方法を探ってい
るうちに、いきなり届いた“九州勢旗揚げ”の報。となれば、いう
までもなく私のこの企ては当分見合せざるを得なくなったわけであ
る。
  さて熊本地裁への提訴は、事件名「『らい予防法』違憲国家賠償
請求訴訟」。その訴状に
  1 ハンセン病問題の真相究明
  2 患者・回復者の原状回復
  3 同種問題の再発防止
を掲げ、損害賠償金として原告1人につき1億円及び同じく弁護士
費用1500万円の請求をおこなっている。この賠償金額1億円に
ついては、あくまで個々の原告のその損害の一部という考え方によ
るものであり、したがって一律請求となった。因みにこの請求方法
は、過去に HIV訴訟など多くの集団訴訟にもみられるところのもの
である。

 そしてこれ以前から私が裁判に打って出る決意でいるというふう
に、九州の親しい療友たちに知られていたこともあって、提訴後い
ち早く西日本弁護団より私あてに数々の連絡があった。その内容は
すべて「提訴はぜひとも国の足元の東京地裁で!」というもので、
しかも「もちろん原告は、東京に所在する多磨全生園の療友を中心
にできるかぎり多く組織を!」の注文つきだった。

 かくして私は先ず当栗生楽泉園の療友に提訴を呼びかけて走り回
り、次いで多磨全生園へ飛んで原告獲得に奔走した。同時にこうし
た運動のなかで力強く決起してくれた東日本の弁護団との間で、訴
状の内容や提訴の時期について綿密な打合せを交わし、ついに1999
年3月26日、私たち21人の原告が44人の弁護団に守られて東京地裁
に提訴したのだった。

 なお訴状の内容は概ね熊本訴訟にならいつつ、東京提訴の事件名
を「らい予防法人権侵害謝罪・国家賠償請求訴訟」としたのは、国
への「謝罪」要求をこの裁判のいわば“骨格”としたかったからで
ある。
                          (続く)
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☆ 今までの裁判の証言については、弊社刊「皓星社ブックレット」
をご覧ください。冒頭にありますように、新刊も待機中です。

●ハンセン病国賠訴訟を知るリンク
古賀克重弁護士のホームページ
「法の華」の(もちろん被害者の)弁護もされています。
ハンセン病国賠訴訟の最新情報データベースがあります。
http://homepage1.nifty.com/lawyer-k-koga/niftypage3.htm

「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟を支援する市民の会
http://member.nifty.ne.jp/shiensurukai-tk/

熊本中央法律事務所 国宗直子弁護士のホームページ
http://www5b.biglobe.ne.jp/~naoko-k/index.html

●『皓星社通信』第2号のリンク再録
高松宮記念ハンセン病資料館(藤楓協会)
http://www.health-net.or.jp/kenkonet/html/dantai/hansen/hansenm.html

ハンセン病と患者を取り囲む社会
http://homepage2.nifty.com/etoile/hansen/nonframe.html

ハンセン病問題学習
(全校生徒15人! 庵治町立庵治第二小学校の取組)
http://www.kagawa-edu.takamatsu.kagawa.jp/azinie01/
seisyouensyoukai.htm

ハンセン病国賠訴訟を支援する会
http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ca2/nanya50/ 

知って!ハンセン病国賠訴訟
http://www.hansenkokubai.com/

ハンセン病関連資料 
http://www.try-net.or.jp/~k-ohta/hansen

ハンセン病のない世界 
http://www02.so-net.ne.jp/~yae

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【皓星社ブックレット10】
『証人調書(2)・「らい予防法国賠訴訟」和泉眞藏証言』
ハンセン病国家賠償請求訴訟弁護団 編
   A5判 約180頁 並製 定価800円+税 2001年2月下旬刊行

1999年6月17日・12月17日に熊本地裁で行われた裁判記録より証言
全文と意見書を収録。和泉眞藏氏は、ハンセン病療養所大島青松園
の現役の医師であり、厚生省の医官も務めている方です。裁判では、
医師の立場、研究者の立場から厳しく国の責任を問われました。
証言の後、和泉氏はさっぱりとした顔で「これで僕は医長どまりだ
な」とつぶやかれたそうです。
「らい予防法」の違法性について医学的根拠を証言した重要な記録
です。

☆ 和泉証言に関する新聞報道
ハンセン病国賠訴訟「絶対隔離必要なかった」−−厚生省医官
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/199906/18/0618e038-400.html

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【皓星社ブックレット11】
『証人調書(3)・「らい予防法国賠訴訟」犀川一夫証言』
ハンセン病国家賠償請求訴訟弁護団 編
    A5判 約180頁 並製 定価800円+税 2001年3月下旬刊行

2000年3月28日・3月3日に熊本地裁で行われた証言の全文です。証
人の犀川一夫氏は、現在、沖縄県ハンセン病予防協会理事長。30年
間、沖縄県のハンセン病治療に従事してきた犀川氏の証言。

☆ 犀川証人の新著
予防協会・犀川さんが著す/ハンセン病政策の変遷
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/1999/9905/990512ec.html

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◎前号でのお知らせより刊行が少々延びてしまいました。
お詫び申し上げます。
☆ 「皓星社ブックレット」とハンセン病関係出版物についてはこ
ちらから。
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/main03.html#kb
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☆ この話題についてのご意見ご感想、情報をぜひ掲示板に!
http://www.libro-koseisha.co.jp/top09/top09.html

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皓星社から
●『レプラなる母』発刊!

2月1日、松居りゅうじ氏による〔長編叙事詩集〕『レプラなる母』
を刊行いたします。
『レプラなる母』 松居りゅうじ著
           四六判 並製 188頁  定価2,000円+税

「自分の首をとらえ、自分の両眼をその病気にむける、自分内部の
力がある。そのはたらきが、この本をつくった」 序文・鶴見俊輔

 著者の松居氏は、福井民報編集者を経て、月刊「社会教育」の編
集をされた方。日中科学技術文化センター設立にも参加。

 表題の「レプラ」はラテン語でlepra、ドイツ語でLepraと綴るハ
ンセン病を意味することば。
『レプラなる母』には日本の近代の歴史を見つめつつ、ハンセン病
と向き合った松居氏の想いがこめられている。

「レプラなる母」については、詩人の村松武司に同名の評論がある。
その中で在日朝鮮人の姜舜(故人)の言葉を紹介している。
「あなたは、ムンディ・オモニという言葉の意味がわかりますか?
これはレプラなる母。そのためにいっそうなつかしく愛すべき祖国
のイメージです」

 村松の評論集『遥かなる故郷』、『海のタリョン』については、
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb1007.html
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb1008.html

お問合せはこちらまで。
info@libro-koseisha.co.jp

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☆ 皆様のご意見ご感想、情報をぜひ掲示板に!
http://www.libro-koseisha.co.jp/top09/top09.html
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【編集後記】

● 『スティング』のポール・ニューマン再び! の謳い文句につ
られて、米映画『ゲット・ア・チャンス』を見にいきました。あい
にくの雪降りで、劇場内の観客はまばら。ふだんは若者であふれる
都内のミニシアターですが、ジョージ・ロイ・ヒルを期待したか、
中年のお客さんが多いようでした。

● 次号は、山梨県在住の備仲臣道さんに甲府時代の竹中労氏の思
い出をご執筆いただきます。お父上の英太郎氏にもずいぶんお世話
になったという備仲さん。どんなお話がうかがえるでしょうか。
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